電子カルテ、IDとPW使い回しでサイバー攻撃被害拡大 NEC構築
NECが構築した電子カルテシステムを使う全国280の大規模病院のうち、半数以上の病院でサーバーやパソコンが病院ごとに同じIDとパスワードを使い回す状態になっていたことがわかった。大阪市の病院が昨秋に受けたサイバー攻撃による被害の原因を調べる過程で、発覚した。NECは朝日新聞の取材に事実関係を認め、システムのセキュリティー対策を抜本的に見直すとしている。
サイバー攻撃の被害に遭ったのは、大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)。
昨年10月、電子カルテのサーバーがランサムウェア(身代金ウイルス)に感染し、少なくとも数十台でデータが暗号化された。患者のデータなどが破壊され、約2カ月にわたって救急患者の受け入れや外来診療に影響が出た。
政府からセンターに派遣された専門家が、サーバーが次々とウイルスに感染した原因を調べたところ、IDとパスワードが使い回されていたことを確認。NECとセンターに「問題点」として指摘した。
病院の「心臓部」ともいえる電子カルテシステムは、多くの医療機器と接続する必要があり、複雑な仕組みで動いている。このため、開発した業者しか把握できず、病院側で専門知識を持った人材を育てにくい側面がある。センターの担当者は取材に「設定や管理をNECに任せきりだった」と話した。
背景に「現場作業の利便性」
NECは使い回しについて…
【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら