パートで働く人らを悩ませる「年収の壁」問題。社会保険料の負担がないように時間を抑えて働くケースがあるとして、岸田文雄首相が「取り組み」を指示し、近く対応策が示される見通しです。ただ、「働き損」と感じるのは、複雑な仕組みによるところも大きいようです。その解消を目指して有識者から「厚生年金ハーフ」という提案もされています。

 「中学生の息子の教育費もかかるし、もっといっぱい働きたい」。札幌市にある回転ずし店「なごやか亭」のパート従業員、浅田由香利さん(37)は昨年10月から月40~50時間ほど、働く時間を増やした。

 きっかけは、店の運営会社が「パート従業員の社会保険料は全額会社が負担する」と決めたことだった。

 それまでは、夫の扶養から外れないよう、年収を130万円以内にするため働く時間を抑えていた。保険料を給料から天引きされるようになるのは困ると思ったからだ。

 だが、社会保険に加入しても、保険料分は会社が3カ月に1度のボーナスで全額を還元することになり、手取りが減る心配はなくなった。ならば、働けるだけ働いて稼ぐ方がいい。今年の年収は前年より70万円ほど増やしたいと思っている。

 これまでホール係が多かったが、カウンターで握りずしにも挑戦している。「お客さんと近くなれるのがうれしい」と話す。

 上司で店長の村田陽一朗さん(32)は、浅田さんが働く時間を増やしたことで助かったという。「学生アルバイトが多い夜の時間帯に働いてもらえるようになり、接客の指導役をしてくれる。忙しい日のシフトを組むのも楽になった」

店舗拡大より人に投資を

 店を運営しているのは、「三ツ…

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