「刑事人生で最悪の性犯罪」 23年前のルーシーさん事件、再び注目
元英国航空客室乗務員のルーシー・ブラックマンさんが2000年夏に失踪し、その後に遺体で見つかった事件が、23年後の今夏、ドキュメンタリー配信を機に再び注目を集めている。ルーシー事件とは何だったのか。事件に深く関わった元捜査員と英国人ジャーナリストに思いを聞いた。
「刑事人生の中でも最悪の性犯罪だった」
警視庁OBの山代悟さん(77)はルーシー事件をそう振り返る。当時、殺人など強行犯罪を扱う捜査1課の係長。「山代班」を率いた。
糸口は1枚の捜査資料だった
00年7月にルーシーさんが行方不明になってまもなく、山代班は捜査本部に加わった。生存の可能性は低いとみられ、捜査は難航したが、「全ての刑事が、必ず見つけ出して家族のもとに帰すという一心だった」と言う。
解決の糸口は、ある夜、山代班の2人の目にとまった1枚の捜査資料だった。交番の警察官がその日の事件などを署長に報告する「注意報告書」。男性客からドライブに誘われ、別荘で薬を飲まされてわいせつ行為をされた外国人ホステスがいるという内容で、店のオーナーから聞き取ったものだった。
山代班はこの女性の証言などから、被害現場となっていた神奈川県逗子市のマンションを割り出した。携帯電話の発信履歴の解析なども進めた。山代さんは「一つ一つの点が次々とつながっていった」と振り返る。
押収したビデオテープに映っていたのは
こうした捜査で、不動産管理…
- 【解説】
当時、別の新聞社にいて、この事件を取材しました。来日した家族が記者会見で、ルーシーさんの無事を祈る姿が痛ましかったことをよく覚えています。 織原受刑者は資産家で、取材した限りでは、当時、赤坂や町田、ヨットを係留していた逗子マリーナ、油壺な
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