元保健体育科教諭で、長く高校生や大学生の性教育に携わった性教育研究者の村瀬幸浩さん(81)が、大人向けの性教育をテーマにした本をまとめました。書名は「50歳からの性教育」(河出新書)。人生の折り返し地点を迎え、自分の体や社会のあり方が変化していくなかで、性をめぐるパートナーとの関係を見つめ直すきっかけとなる本を目指した、と言います。村瀬さんに思いを聞きました。

「威張るのをやめて、仲良くする」

 今回の本は、更年期やセックスのあり方、パートナーシップ、性の多様性、ジェンダーなどについて、知って欲しいこと、考えを見直してほしいことを6人の専門家に講義していただきました。私はとりまとめをする校長の役割をすることになりました。

 そこで「校訓」としたのは「威張るのをやめて、仲良くする」。「威張る」とは、自分を大きく見せて相手を支配する行為、「仲良く」とは対等な関係を築くことです。

 男性はセックスをはじめとしたパートナーとの関係で威張る人が少なくない。だから、この本は男性にこそ読んでほしいと思い、男性が手に取りやすいであろう新書判にしました。

 50歳前後に大半の女性が更年期を迎えることはよく知られています。一方、男性にも更年期があって、性欲が減退したり、精神が不安定になったりすることはあまり認知されていません。

 男性には「元気でたくましいのが男」という思い込みが強い。病院に行くのを不名誉なことととらえていて、病気に気づこうともしないのです。

 体や性の変化でつまずかないた…

この記事は有料記事です。残り1870文字
ベーシックコース会員は会員記事が月50本まで読めます
続きを読む
現在までの記事閲覧数はお客様サポートで確認できます
この記事は有料記事です。残り1870文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料記事です。残り1870文字有料会員になると続きをお読みいただけます。