声なき19分の祝辞 大崎善生さんが藤井王位に感謝「生きる喜びを」
将棋ノンフィクション「聖(さとし)の青春」や小説「パイロットフィッシュ」などで知られる作家の大崎善生(よしお)さん(65)が7日、咽頭(いんとう)がんを昨年患い、声帯を切除したことを公表した。
都内で行われた将棋の藤井聡太王位(21)=名人・竜王・叡王・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ八冠=の就位式に出席した大崎さんは、妻で女流棋士の高橋和(やまと)女流三段(47)の代読による祝辞で闘病について明らかにした。
祝辞によると、大崎さんは昨年に入ってからのどに不調を覚え、病院で治療を受けたところ、ステージ4の咽頭がんと診断されたという。「ただ死に向かって横たわっていました。転移もあり、崖に腰掛けて脚をぶらぶらさせているような状態でした」
入院生活の中で支えになったのは、藤井王位が防衛戦に臨んでいた昨夏の王位戦七番勝負だったという。「(病院のスタッフが)代わる代わる結果を伝えてくれました。気分は諦めモードでしたが、幻の八冠に挑んでいく結果を見届けられないかなと思いました」。王位の活躍が闘病する上での力になったとした。
愛棋家の大崎さんは日本将棋連盟の元職員で、1990年代には専門誌「将棋世界」の編集長を務めた経歴を持つ。「聖の青春」「将棋の子」などの書籍は藤井王位も愛読書に挙げている。
「患者たちはあなたの棋譜を楽しみ、追いつめられても明るい話題になりました…」代読された大崎さんの祝辞を受け、藤井王位は、将来の子どもたちへの気持ちも込めた答えを返しました。
19分に及ぶ祝辞は「患者た…
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