小学6年で白血病に 「ベストを尽くせ」と育てた娘が選んだ競技人生

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江戸川夏樹
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 午前6時、山田家の朝が始まる。眠い目をこする子どもたちをベッドから起こし、近くの土手へ。走ったり、キャッチボールをしたり。それが毎朝の日課だった。

 父親の山田剛さん(52)の口癖は「ベストを尽くそう」。泣き言は許さず、競技に近い走り込みもした。子どもたちの運動能力を伸ばしたい。いろいろな経験をさせたい。テントを持って、3泊4日の自転車旅行に出かけたこともある。

 当時小学生だった桃愛(ももあ)さん(22)はめきめき力をつけ、記録を伸ばしていく。小学4年になると陸上長距離の強化選手に選ばれ、テレビでも紹介された。

 2013年、東京での五輪・パラリンピック開催が決まった。「将来は日本代表に」。そんなことを親子で言い合った。

 その9日後、慢性骨髄性白血病と診断された。股関節が痛い。そう訴える桃愛さんを連れて、近くの小児科に行くと、白血球数が通常の17倍と診断された。その日のうちに、入院が決まった。

 病気の影響で、大腿(だいたい)骨頭が壊死(えし)していた。「絶対に立ってはいけない」。運動厳禁。病院で2カ月を過ごし、1日2回の抗がん剤を服薬した。車いすでの生活は4カ月続いた。

7年間の抗がん剤投薬 医師からの忠告

 一時退院の日、いつも通って…

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