「発達障害で退職強要」 日本年金機構、元職員の男性が賠償求め提訴
発達障害を理由に日本年金機構から退職強要を受けたなどとして、元職員の男性(39)が12日、同機構に慰謝料を含む約1200万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。男性と代理人弁護士らが都内で記者会見して明らかにした。
訴状などによると、男性は正規職員として都内で勤務していたが、上司のパワハラで適応障害を発症して2020年1月に休職。その後、病院でADHD(注意欠如・多動症)と診断された。そのことを同年10月に面談した同機構本部の担当者に告げたところ「そういうことであれば、働ける場所はない」「適応障害が治癒しても、退職するほかない」などと言われたという。
障害告げた後に、送られた退職書類
面談後には退職手続きの書類が送られ、「ADHDで通院治療中であるが、現状では復帰が困難なため」などと理由を書くように指示する記載があったという。男性は指示通りに書いて提出。12月末に退職した。
三鷹労働基準監督署は、22年5月に上司のハラスメントなど心理的負荷があったことを理由に男性の労働災害を認定した。
男性側は就労できる仕事が存在しないと誤解して退職したと主張。退職勧奨は、障害者に対する差別禁止を定めた障害者雇用促進法に反し、態様も悪質だと訴える。また、労働契約法上の「安全配慮義務」にも違反しているとした。
代理人弁護士によると、パワハラや退職強要について同機構は「事実が認められない」と主張しているという。
同機構は取材に「訴状を見ていないのでコメントは控える」とした。
■福島大・長谷川准教授「退職…
- 【視点】
多くの人に知って欲しい記事です。そして、知識は自分の労働環境を守る武器になると知って欲しいと強く感じました。今回、提訴した男性はすでに日本年金機構を退職しており、自ら退職を選んだことになっています。会見でも、「仕事がないと誤解した」と説明し
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