1月1日が78歳の誕生日だった。

 石川県珠洲市若山町にある倉指(くらさし)みち子さん(78)の自宅では、娘や孫によるバースデーソングが響いていた。

 みち子さんは、ケーキに立てたろうそくの火をふき消すと、家族から、今年は何をしたいですか?と聞かれた。

 「健康でいられれば一番いいと思います」

 時計の針は午後1時を回っていた。

拡大する写真・図版地震のあった1月1日、78歳の誕生日を迎えた倉指みち子さん。地震の数時間前、娘や孫からケーキが贈られた=遺族提供

 みち子さんはケーキを食べた後、1人で近くの神社に出かけた。

 数時間後、能登半島を最大震度7の地震が襲った。みち子さんと同居する孫で、高校1年の橋本侑大さん(16)は、目の前で家のサッシが外れ、壁や天井が音を立てて壊れていく様子を目にした。

 日が暮れてから、車で外出中だった母親で、みち子さんの次女、まりかさん(52)と合流した。

 おばあちゃんはどこ?

 夜になってもみち子さんと連絡…

この記事は有料記事です。残り1199文字
ベーシックコース会員は会員記事が月50本まで読めます
続きを読む
現在までの記事閲覧数はお客様サポートで確認できます
この記事は有料記事です。残り1199文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料記事です。残り1199文字有料会員になると続きをお読みいただけます。