「無期雇用転換前に雇い止め」 パタゴニア元パート、撤回求め提訴
米アウトドア用品メーカーの「パタゴニア」日本支社で働いていた元パート社員の藤川瑞穂さん(52)が14日、有期から無期雇用に転換できる直前に雇い止めになったのは不当だとして、同社を相手取り、地位確認を求める訴訟を札幌地裁に起こした。法律で無期転換権が認められているのにもかかわらず、企業が雇用期間の上限を決めて雇い止めにすることの是非が争われる。
原告の藤川さんは2019年4月にパートとして入社。札幌市内の店舗で働いていた。同支社はパートの雇用期間について「最大5年未満」とする不更新条項を設けている。
非正社員が同じ会社で通算5年を超えて働いた場合、無期雇用に転換できる「5年ルール」が労働契約法で認められている。藤川さんは22年7月に労組を結成。「無期転換逃れだ」として不更新条項の撤回を求めて団体交渉を重ねてきたが、今春に制限年数を迎える前の昨年末に雇い止めになっていた。
パタゴニア日本支社は「詳細を把握しておらず、コメントは控える」としている。
訴状では、原告の雇用期間通算4年9カ月の中で契約の更新は9回に及んでいるのに加え、勤続5年を超えるパートが相当数在籍することなどから、「原告には有期契約が更新されるという合理的な期待があった」として雇い止めは無効だとしている。
提訴後、札幌市内で会見した藤川さんは「パタゴニアは地球を救うためにビジネスをしているという大きなミッションを掲げているにもかかわらず、現場で『おかしい』という声が上げられなくなっている。そうした現状を変えたい」と会社側の姿勢を批判した。
パタゴニアは「環境危機に警鐘を鳴らす」という理念を掲げ、店頭で衣料品を大切に着るように呼びかけるなど環境問題に熱心な企業として知られている。訴状では、ウェブサイトで標準以下の環境で働く衣類製造工場の労働者に公正で安全な就労環境を保証するように求めていることも、「原告を含むパタゴニアの労働者に雇用の安定化に積極的に取り組む企業であることを期待させるもの」としている。
- 【視点】
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