今も身震える思い 13年前の事故に対応した柏崎刈羽原発所長が訓示
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から13年となった11日、柏崎刈羽原発(新潟県)で社員集会が開かれた。事実上の運転禁止命令が昨年末に解除され、再稼働に向けた準備が進むなか、稲垣武之所長は「設備や運用に疑問を感じたら必ず解決する。この積み重ねが大きな事故を防ぐことにつながる」と述べた。
集会では、同原発の免震重要棟に管理職ら約120人が集まり、震災発生時刻の午後2時46分、全員で黙禱(もくとう)した。オンラインでつないだ東京本社の小林喜光会長、福島第一原発の小早川智明社長らに続き、稲垣所長が訓示に立った。
稲垣所長は、復旧班長として対応にあたった当時の経験を「原子炉建屋から吹き上がる蒸気を見ながら、地元に大変な影響を与えると考えた。今でも身の震える思いだ」と振り返り、「事故の可能性を極限まで減らし、地元の皆さんに迷惑をかけないことが最大の使命だ」と語った。
そのうえで、疑問点を見逃さず解決を図る大切さに言及。チームとして対応するため、「仲間との信頼関係を構築することが重要だ」と述べた。
また、新潟本社の橘田昌哉代表は「地域の皆さんに信頼されるため、相手の立場に立って不安や疑問に一つ一つ丁寧に答えることが重要だ」と話した。
集会後に取材に応じた稲垣所長は、再稼働に向けて原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷(そうか)」の時期について、「まだいつとは申し上げられない」と明言を避けた。「(前段階の手続きとして事業者自らが行う)検査を始めて何年も経ち、検査後に生じた不具合を直すケースがいくつか生じている」と指摘し、「しっかり万全な状態にしたい」と語った。
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福島第一原発事故を受けて新潟市内に避難しているリース作家の角田郁子さん(51)とパステル画家の高島詠子さん(54)は11日、新潟市西区のギャラリー「潟道(かたんどん)」で、震災の発生時刻にあわせて福島県へ向け祈りを捧げた。
避難後、毎年この時期に作品を持ち寄る展覧会を開いており、今年で10回目。角田さんは「13年はあっという間。新潟で子育てができてよかった」。高島さんは、柏崎刈羽原発で進む再稼働の動きに「怖くて仕方ない」と話した。
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