仮死状態で生まれた娘、夏帆(なつほ)さん(36)にカメラを向け、分娩(ぶんべん)台の上からシャッターを切った。それが始まりだ。
難治性てんかんと診断され、重い障害を持つ娘が医療を受ける姿を河田真智子さん(70)は撮り続ける。
昨秋、写文集「医療への信頼」を出版した。診察室や病室での医師らと娘の写真に、自ら書いた文を添える。
「写真を見返すと、そこには懸命に生きてきた日々があった。悔いのない『過去』があった」
医療に支えられ、命永らえてきた子を育てる親として、医療のあたたかみ、医療への感謝を伝えたかった。
背景には、怒りもある。
新型コロナウイルス感染症が流行し、混乱のなか対応する医療者を、世間は時にばい菌扱いし、差別した。それはないだろう、と。
21歳まで主治医だった小児科医の診察風景の数々、リハビリや嚥下(えんげ)指導の様子、コロナに感染したら「家で死なせたい」という希望に「防護服を着て(家に)きます」と語った医師とのやりとりなどを紹介する。
手にとった医療者からは「くた…