「セクシー田中さん」問題から浮かぶ配信時代とドラマ多産化のひずみ
日本テレビ系で放送されたドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが亡くなった問題は、テレビ業界に波紋を呼んだ。この問題を機に、配信を意識したドラマ作りのひずみを指摘する声は少なくない。「余裕がない」「原作モノよりオリジナルにシフト……」――。ドラマ作りの現場はどのように変化しているのか。
ドラマの制作本数は直近5年で増加傾向にある。ビデオリサーチによると、関東地区においてNHKと民放局計7局が2023年に放送したドラマの延べ本数は6012本。13年(6298本)と比べ5%減だが、18年(5029本)と比べると20%増えている。
同社によると、10年前は今と比べて昼間のドラマや再放送などドラマの放送枠が多く、長尺の2時間ドラマが定期的に放送されていた。近年はそうしたドラマの放送は減ったものの、深夜帯のドラマ枠が増設され、30分などの短尺の作品が増えた。このことが5年前よりドラマの放送が増えた要因と考えられるという。
「(ドラマのような)ストックコンテンツは配信事業に貢献してくれる。注力をしようという明確な考え方を持っている」(日テレの福田博之専務)
「『TVer』や有料課金である『Hulu』と連携をしながら、マネタイズしていく。以前は視聴率が最大の物差しだったが、今は視聴率だけではなくなった」(同社・石沢顕社長)
5月27日の定例会見で発した日テレ幹部の言葉の通り、CMなどの放送収入が厳しい状況にある中、各局は配信に力を入れている。
「採算悪い」→「収入源」に
実際、TVerなどの配信広…
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- 【視点】
放送収入が減少し続けることを前提に、テレビ局は徐々に業態を変化させています。不動産やイベント、映画などの放送外収入の割合が多かったフジテレビとTBSに対し、視聴率が相対的に好調な日本テレビとテレビ朝日は放送収入の割合が多く、業態の転換が遅れ
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