オースティン米国防長官と中国の董軍国防相が31日、訪問先のシンガポールで会談した。米中国防相が対面で会談するのは2022年11月以来、約1年6カ月ぶり。台湾や南シナ海情勢をめぐり緊張が高まる中、双方が相手の軍事的関与に懸念を伝えた一方、偶発的な衝突を回避するため、危機時の意思疎通をめぐる米中の国防当局間の作業部会を年内に開くことで一致した。

 中国軍は5月23~24日、中国を名指しで批判した頼清徳(ライチントー)・台湾総統の就任演説を受けて、「懲罰」として台湾周辺での軍事演習を行ったばかり。11月の米大統領選を控えて米中関係の先行きが不透明さを増す中で、リスクを低減する当局間の関係構築の取り組みが一歩進んだ形だ。

 米側の発表によると、オースティン氏は会談で、中国軍の軍事演習を念頭に「台湾海峡周辺での最近の挑発的な中国軍の活動」に懸念を表明。南シナ海で中国船とフィリピン船の衝突などが相次いでいる問題も提起した。そのうえで、米中間の軍事的な意思疎通を維持することの重要性を強調した。米側は、インド太平洋軍司令官と中国軍の東部・南部戦区の司令官との協議が必要だとの考えも伝えた。

米側は宇宙や核、サイバーについても「懸念」

 一方、中国国防省によると董氏…

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