コウノトリ3羽巣立ちへ 来月中旬か 栃木県小山市で最多に
栃木県小山市は23日、渡良瀬遊水地第2調節池の人工巣塔(すとう)で誕生したコウノトリのヒナ3羽に個体を識別する足輪を装着した。孵化(ふか)から40日余り。3羽は順調に育っているという。同遊水地での自然繁殖は5年連続で、これまで毎年2羽ずつ巣立ってきた。3羽が巣立てば過去最多となり、順調にいけば、6月中旬に巣から飛び立つとみられる。
3羽は人工巣塔に定着している「ひかる」(オス、8歳)と「レイ」(メス、5歳)の間に生まれた。3月10日に産卵を始めたとみられ、4月11日に最初の孵化があったと推定されている。
この日は午前10時過ぎ、市職員や専門機関のメンバーらが、高さ12.5メートルの人工巣塔に高所作業車で近づいてヒナ3羽を捕獲。地上に降ろし、足輪を装着して、血液などの検体を採取した。巣には孵化しなかった卵1個があったという。
3羽の全長と体重は、一番大きいヒナが84センチ、4.7キロで、ほかは80.5センチ、3キロと80.5センチ、3.2キロ。
作業をした「兵庫県立コウノトリの郷公園」の主任研究員で獣医師の松本令以(れい)さん(49)は「3羽とも順調に元気に育っている。(大きさは)平均の範囲内」と説明。体温と呼吸数、脈拍も異常はなかったという。「ここまで育てば無事に巣立つのではないか」と話した。
性別はDNA検査で今後判明する。6月8日には命名式が予定されている。
小山市では過去4年間で21年と22年にも3羽生まれたが、親鳥がそれぞれ1羽「間引き」し、2羽ずつしか育たなかった。