「出所後をどう生き抜く」受刑者の心と向き合い20年 教誨師の僧侶
刑務所で受刑者たちに教えを説くなどして、心の更正や救済をはかる教誨(きょうかい)師。熊本県荒尾市の金剛寺の住職、赤星善生(ぜんしょう)さん(64)はそのボランティア活動を20年以上続けてきた。ときに戸惑い、悩みながら受刑者たちに向き合ってきた。
高野山真言宗の僧侶である赤星さんが、熊本刑務所の教誨師になったのは2003年9月のこと。宗門を越えて同和問題に取り組む活動を通じて知り合った、他宗派の先輩僧侶から勧められた。
刑務所での教誨活動は、受刑者からの「この宗派の教えを受けたい」といった希望を受けて実施される。赤星さんが初めて願いを受けたのは04年2月だった。「子どもが亡くなったので供養を」との頼みに、期待と不安、緊張を感じながら受刑者と向き合ったことを覚えている。個別での教誨は受刑者1人あたり30分が目安とされているが、気付けば1時間が経っていたという。
やがて希望者は3人、4人と…
- 【視点】
ネットリンチなど、法的な犯罪とそうでないものの境界が絶妙に曖昧化している昨今、赤星住職のような「罪の意識のプロ」の存在感が、ひそかに大きくなっているように感じられる。その活動、その言葉にもっとスポットライトが当たり、直接の教誨対象以外の人た
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