拡大する写真・図版有隣堂伊勢佐木町本店の外観。イセザキ・モールのシンボル的な存在でもある=2024年5月18日、横浜市中区、小林直子撮影

 今年、創業115年を迎える横浜生まれの書店・有隣堂。関東大震災や横浜大空襲で被災し、戦後に建てられたいまの伊勢佐木町本店(横浜市中区)は、「知られざる名建築」なのだという。本店を訪ねた。

 「横濱建築 記憶をつなぐ建物と暮らし」(トゥーヴァージンズ発行)の発売記念イベントが5月18日、この本に登場する伊勢佐木町本店で開かれた。

 「歩くたびに発見のあるビルです」

 建築の専門家として本を監修した神奈川大学の中井邦夫教授(55)は本店ビルをそう紹介し、魅力を語った。

 有隣堂は1909年、伊勢佐木町で創業。しかし、23年の関東大震災、45年の横浜大空襲で本店は2度、焼失した。さらに、戦後は本店の敷地を含む一帯が米軍に接収されてしまった。

 市内の別の場所で営業していた創業者の松信大助氏(故人)は、米軍に接収解除を呼びかけ続けた。伊勢佐木町通り側の敷地が52年に解除されると、すぐにビル前部の建設に着手した。

「通常ではありえない」建設手順をとったわけ

 1級建築士でもある中井さんは…

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