「七夕豪雨」半世紀 静岡県内44人犠牲、シンポジウムで治水考える

田中美保
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 記録的豪雨で静岡県内全域で44人が犠牲になった七夕豪雨から半世紀となるのにあわせ、県が6日、治水対策について考えるシンポジウムを静岡市内で開き、約280人が参加した。

 シンポでは、当時の被災の様子を写真で振り返り、特に被害が大きかった巴川流域を例に治水対策の歩みが紹介された。

 巴川は全国で初めて「総合治水対策特定河川」に指定され、大谷川放水路や麻機遊水地などの整備が進んだ。だが、近年では降水量が増えたり、貯水機能がある田んぼが減ったりして浸水被害が頻発している。県の担当者は、自宅周辺の水害リスクを把握するほか、避難のタイミングなどを時系列で整理した「マイタイムライン」をつくるよう呼びかけた。

 シンポでは、小和田哲男・静岡大名誉教授も講演に立ち、治水技術が飛躍的に進んだ戦国時代について採り上げた。

 県東部の郷土史から、室町時代は何度も狩野川の洪水に見舞われた記録が残るが、戦国時代になると記録が減ることに気づいたという。小和田氏は「戦国大名は領民の命を守ることに力を注いだ。強大な権力が生まれ、治水対策が大きく進んだ」と語った。

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