第6回いつもと違う、8時15分の黙祷 社会人になった「広島のグレタ」は

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花房吾早子
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 社会人になって初めての8月6日。奥野華子(かこ)さん(22)は午前7時、広島市中区の実家を出た。路面電車に20分ほど揺られ、原爆ドーム前に着いた。

 「なんか警察官多いなー。警備の人も多いなー。全然、平和じゃないなー」

 人混みの中をスマートフォンを手に歩き、もやもやする気持ちをインスタグラムのストーリーに投稿する。広島平和記念公園内をぐるぐる回るうちに、午前8時15分が近づいていく。

 原爆ドームを対岸に見る川沿いの石段に腰掛けた。原爆投下直後、多くの人が水を求め、無数の遺体が積み重なった場所。黙禱(もくとう)の鐘が鳴る数秒前、立ち上がり、手を合わせて目を閉じた。

 「きょうの自分は、いつもの自分とはちょっと違う」

     ◇

 今春、東京で保育士になった。遊び、散歩、食事やおやつ、保護者とのやりとり、職員会議……。「できないことが多すぎて、すぐ泣いちゃう。めちゃめちゃメンタル弱い」

 広島市で生まれ、小学生の頃…

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この記事を書いた人
花房吾早子
大阪社会部|平和・人権担当
専門・関心分野
原爆、核廃絶、ジェンダー、LGBTQ+
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    増田ユリヤ
    (ジャーナリスト)
    2024年8月6日16時32分 投稿
    【提案】

    記事を読み、 奥野華子さんに対して、 彼女の人生の3倍近くの時間を生きてきた私から、 こんなことを話したくなりました。 社会人一年生は、タイヘンなのがあたりまえ。 すぐに理想通りに何かができるわけはありません。そこに辿りつくまでには、時間

    …続きを読む