8月9日に長崎市で行われた平和祈念式典に、同市はイスラエルを招待しませんでした。それに反発した駐日米英両大使らが式典への不参加を決め、大きな波紋を呼びました。それによって、本来なら原爆犠牲者の霊を慰め、原爆投下が招く悲劇と愚かさをかみしめて、恒久平和を誓う大切な日が乱されたことは、残念でなりません。

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外交・安保政策が専門の佐藤武嗣編集委員が書き下ろす「佐藤武嗣と考える外交・安全保障と日本の針路」は、有料会員限定で月1~2回、水曜にメールで配信します。

 長崎市の対応、ロシアやベラルーシ代表を同月6日の広島市の平和記念式典に招待しなかった同市の対応、そして米英などの対応も含め、様々な見方や意見があるでしょう。

 来年は、原爆投下から80年という節目の年です。問題点を整理しなければ、また同じような騒動が起きかねません。今回は、私自身の考えを述べてみたいと思います。

広島・長崎市の対応 説得力ある選択肢

 まず式典を主催する広島、長崎両市の対応についてです。説得力ある対応としては、以下の二つの選択肢があるのではないでしょうか。

 ①原爆投下の実相に触れ、平和を祈る場として、参加を希望する全ての国・地域を区別なく招待する。

 ②国際法への明白な違反行為や核威嚇を行う国は、原爆被爆都市として式典招待から除外する。

 例えば、広島市は軍事侵攻した…

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