「飛鳥・藤原」はなぜ世界をめざすのか 学術的な価値とその意義とは

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編集委員・中村俊介
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 世界遺産をめざす「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県)が、国内候補としてユネスコ国連教育科学文化機関)に推薦されることになった。登録推進協議会の専門委員会委員長、木下正史・東京学芸大名誉教授(考古学)に、その歴史的価値と世界遺産をめざす理由を聞いた。

 ――「飛鳥・藤原」の学術的価値を教えて下さい。

 古墳時代以来の豪族による連合政権が、大化の改新を境に中央集権国家へと進んだ。その過程を遺跡などから解き明かすことができる。

 そこに国際交流が絡む。朝鮮半島からの渡来人が飛鳥周辺に住み着き、蘇我氏と結びついて開発を進めた。日本初の本格的寺院とされる飛鳥寺も渡来人の技術者が深くかかわった。遣隋使で派遣された留学生らが中国で学んだ政治社会、文化思想、技術を持ち込み、遣唐使を通して漏刻(水時計)技術や時刻制度が整備されていく。5世紀来の渡来人重用の結果だ。

 ――古都にまつわる世界遺産には「古都京都の文化財」や「古都奈良の文化財」もあります。違いは。

 コンセプトが違う。「飛鳥・…

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この記事を書いた人
中村俊介
編集委員|文化財・世界遺産担当
専門・関心分野
考古学、歴史、文化財、世界遺産