第2回【アーカイブ配信】DNA不一致、渾身の鑑定 みそ漬けの血痕試料 弁護側・本田氏挑む
華野優気 仲川明里 増山祐史 高橋淳
2018年に朝日新聞に掲載された、袴田巌さんに関する連載を再配信しました。肩書や年齢などは当時のままです。
【2018年3月29日朝刊掲載】
「おや、普通に話をしているじゃないか」
2012年3月14日、本田克也・筑波大教授は東京拘置所にいた。部屋で待機していると、袴田巌さん(82)と採血をする医師の淡々としたやり取りが、壁越しに聞こえてきた。
この日、45年前にみそタンクで見つかったとされる「犯行時の着衣」のシャツの右肩にあった血痕と、袴田さんのDNA型を比較するための採血が実現した。10年8月に姉秀子さん(85)と面会したのを最後に、誰も姿をみることがなかった袴田さん。拘置所側から弁護団には「医師の診察も受けたがらない。採血も拒否する可能性が高い」と伝えられていた。
本田教授は受け取った袴田さ…