拡大する写真・図版「若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私-」4話から=日本テレビ提供

 スポーツに読書と盛りだくさんの秋だが、連続ドラマも実りの秋を迎えている。担当記者が、ゴールデン・プライム帯を中心に連ドラ初回を片っ端から見て採点し、感想を語り合う恒例のドラマ座談会。話題作が多くの票を集めた今回、盛り上がったのは、ある傾向についてだった。

 滝沢 今回、第1位は「議論の余地なし」という得点でした。

 宮田 逆にいえば、1位以外は結構票がばらけましたね。

 岩本 全体としては豊作だと思いますよ。語りたいドラマがたくさんあります。

ルール・メンバー
地上波で放送中の連続ドラマからゴールデン・プライム帯(午後7~11時)を中心に記者6人が各自のおすすめ5作品を1位=5ポイント、2位=4ポイント……と集計。総獲得ポイントで順位付け。 参加者は、岩本修弥(30)、滝沢文那(36)、照井琢見(30)、西田理人(32)、堀越理菜(27)、宮田裕介(34)の6人。

 滝沢 では、普段はランキング上位から順番に紹介しますが、今回は別の切り口から。今期は2人組の、いわゆるバディものが多いんですよね。「相棒」「ザ・トラベルナース」(テレ朝系)はシリーズですけど、「噓(うそ)解きレトリック」「オクラ」(フジ系)などなど。

 岩本 確かに。「潜入兄妹」(日テレ系)もそうですね。「無能の鷹(たか)」(テレ朝系)も変形のバディものかも。

 宮田 バディにするメリットは主演級2人のタイプを変えて、どちらかに感情移入をしてもらったり、別のターゲットを同時に狙えたりする戦略があると思うんですよね。

多かったバディもの その理由を考える

 西田 なぜ多いのかを考えてみたのですが、恋愛ものが避けられる傾向と関係あるような気がするんですよ。2人がくっついたり、離れたりでは視聴者を引っ張れなくなっている。そこで、代わりに、仕事仲間としての2人組や兄妹を軸にする形になっているのでは、という仮説を立ててみました。恋愛関係に発展しないという設定によってある意味、安心して見られる側面もある。

 照井 テレビ朝日新人シナリオ大賞の講評で、脚本家の岡田惠和さんが、気になることを言っていました。応募テーマが「ラブストーリー」なのに、「恋愛に積極的じゃないんだなということがほとんどの候補作から感じます」と。「きっかけがないと恋愛は始まらないんだなという感じとか、人生における恋愛のプライオリティーみたいなものがわかってすごく面白かった」とも話していた。

価値観の変化を自然に織り込む「あのクズを殴ってやりたいんだ」

 滝沢 恋愛を扱うドラマでも、楽しさではなく、難しさを描く傾向にありますよね。その点、「あのクズを殴ってやりたいんだ」(TBS系)を上位に挙げた堀越さん、どうですか。「クズ」な男を殴ってやるべく、奈緒さん演じる主人公がボクシングを始める話ですが……。

拡大する写真・図版11月5日放送予定の「あのクズを殴ってやりたいんだ」第5話から=TBS提供

 堀越 恋愛ドラマといえばフジ…

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