大井川にかかる世界一長い木造橋「蓬萊橋」 ルーツは明治の茶畑開墾

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滝沢貴大 川村直子
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 お茶の一大産地として全国的に知られる静岡県島田市。市の中央を流れる1級河川の大井川には、茶畑開墾のため明治時代に建造された全長897.4メートルの「蓬萊(ほうらい)橋」がかかる。1997年、「世界一長い木造歩道橋」としてギネス世界記録に認定された。

【撮影ワンポイント】蓬萊橋

 たそがれ時、渡る人が切り絵のように浮かび上がる蓬萊橋
 空が澄み渡れば、富士山がくっきりと見えるのだけれど、あいにくの空模様。さてどうするか、と考えながら橋を渡ると、たもとの露店先で石像を彫っていた男性が「夕焼けもきれいだよ」と教えてくれた。
 太陽が山に隠れ、三日月が空に浮かぶ。観光客でにぎわう日中とは違う、静寂な空間が現れた。(川村直子)

 10月下旬、橋を訪れた。たもとには、牧之原台地の開墾を主導した勝海舟の像がたたずむ。渡るには通行料100円がかかる、現在では珍しい「賃取り橋」だ。「橋番」の男性に100円玉を渡して先に進むと、対岸の景色がかすんでみえた。橋の横幅は2.4メートルで、板が敷き詰められた昔ながらの造りだ。

 遮るものがない川の景観を楽しみながら5分ほど歩くと、足もとの板に「ど真ん中」の文字。まだ半分しか進んでいないことに驚く。約20分かけて往復し終えると、お茶だけでなく煎茶のソフトクリームなどを販売する「茶屋」があり、一息をつきながら市の名産品を味わえる。

■「越すに越されぬ大井川」…

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この記事を書いた人
滝沢貴大
静岡総局
専門・関心分野
静岡のニュース、地域創生、サブカルチャー