大規模災害 救助隊どう連携 能登半島地震踏まえ1都9県などが訓練

田中美保 南島信也
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 静岡県内の消防だけでは対応しきれない大規模な災害が起こり、他都県から応援を受けることを想定した緊急消防援助隊の合同訓練が13日、県東部で始まった。1月に発生した能登半島地震を踏まえ、建物の倒壊や津波に加え、土砂災害や火災などさまざまな被害を想定した救助訓練が7地区で行われた。

 合同訓練は関東の1都9県が順番に行っており、今年度は静岡県が担当した。台風による土砂災害が発生し、さらに地震も起きて被害が広がり、知事が消防庁長官に応援を要請した、というシナリオ。他の部隊とのスムーズな連携を実動で確認するのが目的だ。

 伊豆市の会場では、地震で1、2階が倒壊したマンションや民家に取り残された住民、横転した車内に閉じ込められた運転手を救出するといった訓練が行われた。消防や警察、陸上自衛隊がお互いの役割を確認し合いながら、本番さながらの救助活動を展開した。

 山あいの採石場では、「土砂災害が発生し数十人が生き埋めになった」という想定で、2021年に起きた熱海市土石流災害をほうふつとさせる過酷な災害現場を再現した。土に埋まったダミー人形を掘り起こし、急な斜面を搬送した。

 下田市では、ヘリコプターを使って津波で流された人を助ける訓練が下田港であった。伊豆半島を南北に走る主要道路が寸断し、陸路での救援は期待できないと仮定。海に浮かせた津波シェルターと下田海上保安部巡視艇に、埼玉県東京消防庁のヘリがそれぞれ上空から近づき、要救助者をつり上げて救助した。

 下田消防本部の担当者によると、能登半島地震では1月1日夜に下田を出発した隊が、石川県珠洲市の被災地に入れたのは4日早朝だったという。「能登と伊豆は似た地形で、大きな災害があれば伊豆でも孤立する恐れがある。能登での反省点を今回の訓練メニューに生かした」と話した。

 1都9県に加え、今回の訓練には愛知県の援助隊や陸上自衛隊、県建設業協会など約1500人が参加。14日も一部の地区で訓練を予定する。

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