第1回「私が村をよみがえらせる」 世代交代担うZ世代、地雷除去員の闘い
「悪魔の兵器」と呼ばれる地雷――。
ロシアによる侵攻が続くウクライナを、その影が覆いつつある。
米国がウクライナへの対人地雷の提供を発表したことも、波紋を広げる。戦闘が終わっても、地雷は人を無差別に傷つけ続けてきた歴史があるからだ。
30年もの闘いが続くカンボジアで、「地雷汚染国」の未来を追った。
【連載】悪魔と闘う 「地雷汚染国」からの報告(全4回) 続きはこちら
地雷は爆発か除去をしない限り地中に残り、民間人でも子どもでも、関係なく襲い続けます。除去に奮闘する人、被害に苦しむ人、記憶の風化に向き合う人、復興を支える日本人…それぞれの今を伝えます。
タイ国境に近い北西部バッタンバン州。繁華街から車で1時間半ほど走ると、素朴な高床式住居が点在する山村に着いた。
広大な空き地に、「Danger!! Mines!!(危険!!地雷!!)」と書かれた赤い標識がいくつも立っている。ここ、ロマンクロム村の地雷原の周囲には、約100世帯の372人が住む。これまでに、地雷や不発弾が原因で障害を負った人は10人に上るという。
村では、政府傘下の「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」の専門員11人が地雷除去の任務にあたっている。
4人の女性専門員の一人、エー・パリアンさん(23)は2024年8月、CMACに入り、この現場に配属された。
分厚い作業服に、支援する日本の国旗があしらわれたヘルメットとプロテクターを着け、金属探知機で地中を調べていく。
10月中旬だが、午前中でも気温計は33度を指していた。
今年も8歳の少年が犠牲に
「地雷除去は全ての工程が難しく、命がけの作業。見えない敵と闘っているようなものです」
噴き出す汗をぬぐう。
記事後半では、過酷な除去作業の実態や、若い専門員の思いに迫ります。
エーさんは小学校の教員を目…