今年も13兆円超の補正予算案 どうすれば財政規律を取り戻せる?

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聞き手・笠井哲也
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 13兆円を超す巨額の補正予算案が29日、閣議決定された。コロナ禍で膨張した財政支出について、政府は「平時に戻す」と言いながら、その気配は感じられない。どうすれば財政規律を取り戻せるのか。財政政策に詳しい白鷗大学の藤井亮二教授に聞いた。

 ――今年度の補正予算案では13.9兆円が計上されました。リーマン・ショック東日本大震災に対応したときの規模に相当します。いま、それほどの補正予算を組む必要があるのでしょうか。

 「景気もよくなっているし、株価も上がっている。なぜこれほど巨額の財政支出が必要なのか疑問です。政府は物価高対策がメインだと説明しますが、そもそも物価高対策を財政政策でする必要があるのか。物価の安定は金融政策で対応すべきで、日本銀行の仕事です」

 「今回の補正予算は、石破茂首相が衆院選の第一声で『(昨年度の補正予算を)上回る大きな補正予算を国民に問いたい』と述べたことに始まります。事業の内容や補正予算の必要性は後回しにして、まず財政支出を打ち出すことに主眼がありました」

 「本来の順序は①緊急に財政支出が必要な事業がある②そのための補正予算編成を判断する③事業に応じて必要な補正予算の規模が決まる……です。まず補正予算や経済対策の規模があって、その後に事業内容を決めるのは『緊要性』という財政法第29条の趣旨に反します」

 ――政治家は選挙になると、経済対策をアピールしがちです。

 「選挙前になると、経済対策…

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