農林業に大きな被害をもたらすニホンジカ。その数を減らす新たな方法を森林総合研究所九州支所(熊本市)が編み出した。といっても、わなの近くに食塩水を入れたバケツを置いておくだけのシンプルな手法。これで、ほぼメスだけを効率よくおびき寄せ、繁殖を減らすことができるという。

 かねて鉄道関係者の間では、シカがレールをなめに来ることが知られていた。また、シカ猟の季節、昔は猟師が自分の小便で泥団子をぬらし、シカをおびき寄せていたという。

 ミネラルを補給しようとしているらしいシカのこの性質に九州支所の研究グループは着目。2022年6月下旬、鹿児島県境に近い熊本県水俣市の県有林で実験を始めた。

 食塩水を入れたバケツと水だけを入れたバケツを6個ずつ、けもの道近くに置いてカメラで自動撮影。11月半ばの実験終了までに、シカは69回食塩水を飲みに来たのに対し、水を飲みに来たのは10回にとどまった。食塩水69回の内訳はメスが66回、オスが3回だった。

 なぜ、メスがとりわけ食塩水を…

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