「美」と「知」恐るべき探究の力 美術史家・高階秀爾さんを悼む 大原美術館長・東京大名誉教授、三浦篤
今でも覚えている情景がある。高階秀爾先生とパリのカフェで待ち合わせたときのこと、コートに身を包み颯爽(さっそう)と現れた先生は、注文したコーヒーに砂糖を入れ、スプーンをゆっくり回し始めた。砂糖が溶けるまで何度も。
その無駄のない優雅な手つきに、私は思わず見とれてしまった(これがフランス文化を身に…
- 【視点】
泰斗・高階秀爾の名前は、まったく門外漢の私でもよく知るぐらい、高く広く輝きを放っていた。書かれたものを通してしか彼の知の集積に接する機会はなかったが、その印象は御本人をよく知る三浦篤氏の繊細な描写と、おどろくほど一致する。文は人なり、という
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