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私立中学の人気の背景は「面倒見のよさ」 教育の内容に注目を 東京私立中高協会・近藤会長に聞く

2024.10.02

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EduA編集部
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首都圏の私立中学入試は今年度、過去最高の受験率となりました。人気の背景には何があるのでしょうか。毎年5月に「Discover私立一貫教育 東京私立中学合同相談会」を朝日新聞社と共催する一般財団法人東京私立中学高等学校協会の近藤彰郎会長(八雲学園理事長・校長)に聞きました。

――2024年春の首都圏の中学入試は過去最高の受験率となりました。

大学合格実績といった数値的なものも一つの評価ですが、私学に入るのは偏差値の高い子だけではありません。そういった子も含めた面倒見のよさが評価されているのではないでしょうか。

公立の学校にも良い先生はいるでしょう。私立はそれぞれの先生というより、学校として、誰が担任になっても全体で補てんする仕組みがあります。若い先生に補助を付けたり、授業について行けない子には補習をしたりといった評判のよい取り組みは、保護者の口コミで広まります。

私は学校説明会で「いじめはどこにでもあります」とはっきり言います。どうやって発見し、どう対応するか、全部言います。スマートフォンやSNSの問題も難しいですが、現実的に対応しています。しっかりと基盤を作ってきた学校であれば、問題が起こっても隠さず、きちんと対応するはずです。

――学校選びの際はどのようなポイントを見ればいいでしょうか。

偏差値や難関大学の合格実績で選ぶことを否定はしませんが、それだけではありません。どんな教育をやっているかにもっと注目してほしいです。

中高6年間で生徒たちの心は大きく変化します。学校は人間を育てないといけません。知の部分を追い求めすぎるとどこかでへたってしまう。せっかく入った大学をやめてしまう人もいます。人間同士でふれあい、お互いを大切にしながら、時にはトラブルになることも大事です。

難関大に行くことだけが目的なら、学校なんて行かずに家で受験勉強だけした方がいい。そうではなく、学校生活で体育や美術、行事もやりながら、目指す大学に行くことに意味がある。知力の前に体力や気力。順番を間違えないでほしいと思います。

――東京都が授業料の一部を助成する「私立高等学校等授業料軽減助成金」は今年度から、所得制限がなくなりました。私立中学校についても所得制限なく授業料支援(年10万円)が受けられるようになりました。

これまで私立学校はお金がなくては行けませんでした。中高一貫6年間の授業料の負担は大変です。そのお金の問題が少しずつ動き始めてきました。東京都の私立高校授業料の助成金が誰でも受けられるようになり、中学校でも毎年10万円の支援が受けられるようになった。それなら考えてみよう、という人は多いのではないでしょうか。公立か私立か、本当に行きたい学校の選択権が東京では誰でも持てるようになったのです。

これまでは偏差値の競争でしたが、これからは各校が教育力を上げないと選ばれない。教育の競争が激しくなるのはいいことだと思います。

戦後のベビーブームの時代、公立学校で教室が足りず、足りないところを私学が定員を増やして請け負いました。公立の施設ができたらしぼむ、いわば風船のような作業をしていました。公立高校を受験して落ちた子の受け皿という役割もありました。

今の高校は義務教育みたいなもので、東京では半数以上の生徒が私立に通っています。また東京では中学校でも生徒の5分の1が私立です。大学受験しない子も含め、世の中のボディーになる人たちをどう育てるか。いろいろな能力を見いだして社会に送り出すのが私学の役割だと考えています。

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