一色清の「このニュースって何?」

総選挙の投開票へ → 若者は国会議員になれないの?

2024.10.25

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、マイクを握り第一声で主張を展開する候補者=2024年10月15日午前11時42分、東京都内、佐野楓撮影)

選挙権年齢よりも高い被選挙権年齢

総選挙の投開票日が迫ってきました。1344人が立候補し、衆議院議員の定数465(小選挙区289、比例区176)を争います。政党の新しい勢力図がどのようになり、日本の政治がどう動くのか、注目されます。

だれに投票しようかと考えながら候補者の名簿をながめていて気づくのは、若い候補者が少ないということです。数えてみると、20代の候補者は全国の選挙区で15人、比例区単独で6人の計21人しかいません。その中でもっとも若い候補者は25歳で、1人だけです。

24歳以下の候補者がゼロなのは、公職選挙法で衆議院議員選挙に立候補できるのは25歳以上と決められているためです。ほかにも都道府県議会議員選挙や市区町村議会議員選挙に立候補できるのも25歳以上ですし、参議院議員選挙と都道府県知事選挙に立候補するには30歳以上でないといけません。

選挙で投票することができる選挙権年齢は2016年に20歳以上から18歳以上に引き下げられました。しかし、選挙に立候補できる年齢である被選挙権年齢は戦後すぐに衆議院議員などは25歳以上に、参議院議員などは30歳以上に設定され、80年近くそのままになっています。今では選挙権年齢と被選挙権年齢の差が衆議院議員などでは7歳、参議院議員などでは12歳に広がっています。

選挙権年齢の引き下げは若者の意見を政治にもっと取り込もうという狙いからおこなわれましたが、それならばもっと直接的に若者の意見を取り込める被選挙権年齢の引き下げもすればいいのに、と思います。

実際、そうした動きは出ています。若者の政治参加を促す「NO YOUTH NO JAPAN」(NYNJ)という団体は「被選挙権年齢を選挙権年齢と同じ18歳以上にしよう」という主張を掲げて活動しています。

そのひとつとして23年3~4月の神奈川県知事選や船橋市議選などに立候補を届け出たが受理されなかった19~25歳の6人が国を相手取り、立候補できる地位の確認などを求める訴訟を東京地方裁判所に起こしています。公職選挙法が被選挙権の年齢を25歳や30歳としているのは、国民主権や法の下の平等などを定めた憲法に違反するという訴えです。現在、審理がおこなわれています。

被選挙権年齢が選挙権年齢より高く設定されていることについて、選挙を所管する総務省のホームページを見ても理由は書かれていません。しかし、一般的には「政治をおこなうには、思慮と分別が必要。それを持つためには経験と知識が必要なため」と考えられています。

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