注目校に聞く

独協(上)上田校長に聞く 医学部への推薦枠に注目 医師に必要な優しさとコミュニケーション能力とは

2024.11.07

author
市川 理香
Main Image

独協中学・高校(東京都文京区)は、独逸学協会が、初代校長に日本近代哲学の父と言われる西周(あまね)を迎えて1883年に設立した独逸学協会学校を前身とし、ドイツとの関係の深さで知られています。1997年に高校募集停止による完全中高一貫校化、2021年に午後入試を導入するなど、男子中学受験生にとって何かと気になる存在。独協医科大で長く学生を教えた医師でもある校長の上田善彦先生に、教育の特長や医師に求められる資質について聞きました。(撮影/植田真紗美)

上田善彦

話を聞いた人

上田善彦さん

独協中学・高校校長

(うえだ・よしひこ)1953年生まれ。福島県出身。独協医科大名誉教授。72年独協高校卒業。79年独協医科大医学部卒業。85年独協医科大医学部講師となる。91~93年米国ニューヨーク州立大学バッファロー校(免疫病理)留学。帰国後、独協医科大医学部助教授、同教授、独協医科大越谷病院(現・埼玉医療センター)主任教授、副院長、独協医科大付属看護専門学校三郷校学校長を歴任。2010年から学校法人独協学園評議員、現在は独協学園理事も務める。21年4月、独協中学・高校校長就任。

校風は「おっとり」

――医学の世界から、中高一貫の男子校校長となり4年目です。

校長就任は、ちょうどコロナ明け間近で、入学式は対面でできましたが、飲食を伴う大人数の会合はまだ控えていた頃です。各学年の先生方と、近所の関口フランスパン(日本で初めてフランスパンを作ったとされるパン店)のサンドイッチを食べながらの茶話会などでコミュニケーションをはかり、人となりを知るように努めました。

医学部でずっと学生を教えてきて、ここに来る前の2年間は、女性の多い看護専門学校の校長をしていたので、当初はギャップも感じましたが、独協高校の卒業生なので、すぐになじみました。

私が高校生の頃の独協は1学年400人もいて、いろいろな生徒がいました。福島県出身で高校から入ったので、校長の天野貞祐先生(独協の卒業生で元文部大臣)が朝礼で壇上に上がると、生徒がみんな拍手をしたのに驚きました。天野先生は哲学の先生で、哲学的なことをかみ砕いてわかりやすく話をしてくださいました。副校長の小池辰雄先生も文学者らしく、黒板に漢文を書いて哲学や歴史の話をしてくださる、そんな朝礼でした。

今も昔も、生徒は根が優しく、他人を蹴飛ばしてまで上にいくというようなことはなくおっとりした校風ですが、最近は全体的におとなしい生徒が多くなってきた気がします。

――それは、物足りないということでしょうか。

ガンガンいくような面が欲しい気もしますが、親子3代で独協というご家庭もありますし、天野校長以来ずっと、「学問を通じた人間教育」を継承してきた学園なので、物足りないというのとは少し違います。

私は、長い間医師として生活をしてきましたので、朝礼でコロナ感染症の話をしたり、中学生や高校生向けに年数回の医学基礎講座を実施したりしてきました。医師になる資質も含め、本校の生徒には知性・感性、優しさと品格のある人間性を備えた生徒になってほしいと考えており、教職員一丸となって日々努力しているところです。

バックナンバー
新着記事
新着一覧
新着一覧

ページトップ

  翻译: