4回転サルコー初成功
それでもなお、横浜で感じる余震に恐怖を感じた。頑張る被災者の象徴として取材を受け続ける一方で、「自分は何もできない」と無力感にもさいなまれた。6月、せきを切ったように羽生は泣き出し、母から「頑張らなきゃね」と声をかけられた。その数日後だった。羽生は母に告げた。「そうだね。もう泣いたから大丈夫」羽生はこの頃、大技の4回転サルコージャンプに初成功している。指導した田中総司は言う。「あれだけ『しんどいっす』って顔で練習していたのに変わった。『楽しいー!』って笑って。震災後に色んな人から受けた優しさは、彼の宝物になった」
震災後、フィギュアへの思いを語る羽生 2013.8.30