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自民党の派閥をめぐる裏金問題は国民の政治不信を招きました。これまでも幾度となく繰り返されてきた「政治とカネ」の問題。渦中に置かれた政治家の発言とともに、戦後政治を振り返ります。
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昭電疑獄が広がりを見せていた1948年、「政治活動の公明と公正」を確保するとして、政治資金規正法が施行された。施行当初は寄付の制限は設けられていなかった。
55年に自由党と日本民主党が合同して結党した自由民主党が政権与党の強固な足場を築くと、カネと権力が集中。
カネの問題で自民議員が逮捕される事件もあったが、法改正には至らなかった。
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佐藤内閣の支持率アップ
田中氏の金脈問題への批判が強まると、1975年に政治資金規正法が改正。企業の規模に従って献金限度額を設けるなど規制が強化された。
ロッキード事件が表面化した後に行われた第34回衆議院選挙では、自民党の結党以来初めて、議席占有率が5割を下回った。
自民党内でも金権政治への反発が高まり、「まつりごと清ければ人おのずから和す」の意を込めた「清和会」(現・清和政策研究会)を福田赳夫・元首相が立ち上げた。
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自民党が負った代償は大きく、野党が提出した内閣不信任案に自民党の一部議員も賛成し、1993年の衆院選で非自民政権が誕生。結党以来初めて野党に転落し、55年体制が崩壊した。
一連の政治と金をめぐる事件を受け、1994年に政治資金規正法が改正。政治家個人への企業・団体献金の禁止や、政治資金パーティーの公開基準額が100万円超から20万円超に引き下げられた。ただし、献金の減少を補うために政党交付金が導入された。
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政治資金規正法は1948年の施行以来、政治とカネの問題が政界を揺るがすたびに改正を重ね規制を強めてきたが、不正は後を絶たなかった。
事件を受けて、政治団体間の寄付を年間5千万円に制限し、国会議員の関係政治団体に全ての領収書の公開を義務づけるなどの法改正が行われたが、積もりに積もった自民党政治への不信は09年の政権交代を招いた。
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しかし、またも「おごり」とも受け取れるような、中堅議員らによる大胆な汚職や買収事件が相次いだ。
繰り返される政治とカネの問題のなかでも、特に自民党を直撃したのは、派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件だった。
自民党の最大派閥・安倍派などによる裏金づくりは長年慣習化していた。
世論は強く反発し、2024年の衆院島根1区の補欠選挙や静岡県知事選など与野党対決型の大型選挙で自民党は連敗した。
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終戦直後から「政治とカネ」の問題はたびたび浮上し、1948年に制定された政治資金規正法。
しかし、55年に結党した自民党のもとでも疑惑は繰り返され、政治生命を絶たれた有力議員も少なくない。
そのたびに法改正で規制を強めてきたが、自民政治は今もカネの問題から決別できずにいる。