アメリカ大統領選挙20242人の政策は?

米国の次期大統領となるのは、民主党のハリス副大統領か、共和党のトランプ前大統領か―。主要な10項目の政策テーマごとに両候補の主張をまとめ、担当記者がポイントを解説していきます。

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1インフレ

コロナ禍を経て、
バイデン政権は
物価高(インフレ)に苦しんだ

政策比較
Harris Trump

就任したら、
生活費の引き下げ
を最優先

私はインフレと
無縁だった

  • 食品の価格のつり上げを禁止。連邦法の制定も目指す
  • 製薬会社との交渉を通じて、薬価の大幅引き下げを実現へ
  • 壊滅的なインフレ危機を「ただちに終わらせる」と主張
  • エネルギーコストを下げることで、
    交通・製造・家庭用品の価格が下がると訴え

食料品など、生活するのに
かかる費用は上昇が続いている

$3.08/1ダース 2024/7/1
牛肉 $5.49/1ポンド 2024/7/1
パン $1.95/1ポンド 2024/7/1
ポテトチップス $6.24/16オンス 2024/7/1
電気代 $0.178/1キロワット 2024/7/1
ガソリン $3.38/1ガロン 2024/7/1
住宅価格

1980年の第1四半期を100とした場合

2016年1月1日以降の価格の推移。FRBのデータベースから

記者解説

榊原謙

ワシントン特派員
榊原 謙

トランプ氏は
「現政権の失敗」と攻撃
ハリス氏は
財政出動で生活応援アピール

今回の大統領選では、米国民の暮らしを直撃する物価高(インフレ)が一大争点になっている。バイデン政権下で、インフレ率は一時約40年ぶりの9%台まで上昇した。トランプ氏にとっては格好の攻撃材料となっている。「私はインフレと無縁だった」。トランプ氏が演説などでくり返し使うお気に入りのフレーズだ。トランプ前政権下でインフレ率は0~2%台で安定していた。インフレを除けば、バイデン政権下の経済指標は悪くない。だが、有権者にとっては、前政権時代との生活必需品の価格差の印象は強烈だ。「トランプ前政権の方が経済はよかった」と考える有権者も多い。「人々はシリアルやベーコン、卵などを買うことができない」などと言い募り、民主党政権の「失敗」だと印象づけるのがトランプ氏の基本戦略だ。現政権内にいるハリス氏にも大きな責任があると攻撃する。一方、バイデン氏がインフレ批判に苦しむ姿を間近にみてきたのがハリス氏だ。ハリス氏は公約に「就任後100日間で生活必需品の価格を引き下げる」と掲げ、対応に全力を挙げると訴える。子育て世帯に6千ドルの減税、初めて住宅を購入する人への最大で2・5万ドルの「頭金」支援、300万人の医療費の借金計70億ドルの免除―。公約集には、生活の負担軽減策がずらりと並ぶ。価格のつり上げを禁止する連邦法の制定など、実現性が極めて怪しい公約も混じる。知名度でトランプ氏に劣るなか、有権者の「生活応援」に絞りアピールする戦略が明確だ。トランプ氏は高関税や減税、ハリス氏は財政出動が特徴だ。どちらが勝ってもインフレ圧力が強まりかねない。

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