大学受験にかかる費用は、いったいどのくらいなのでしょうか。また、大学入学後にはどの程度の費用がかかるのでしょうか。実際にお子さんの受験から大学入学までを体験した保護者のさまざまなケースを通じて、気をつけるべきことを紹介します。(写真=Getty Images)
ケース1:国立大へ進学+一人暮らし
お子さんが国立大学に進学した小山さん宅(仮名)。国立大学は文系・理系にかかわらず費用は同額で、入学金28万2000円、1年間の学費は53万5800円(標準額)と私大に比べると安く済みます。
しかし、ひとつ落とし穴がありました。自宅から大学までは電車とバスを乗り継いで1時間20分程度のため、自宅から通えるものと思っていました。ところが、体育会系の部活に入部したため、朝練の参加が必須でした。毎朝5時に家を出るのは難しく、結局、一人暮らしをすることになりました。引っ越し準備に約30万円、家賃・光熱費で毎月8万7500円の出費が発生しました。部活動や研究活動のために、大学近隣に住まざるを得ないケースは少なくないようです。自宅から本当に通えるか、事前にしっかりと見極めましょう。
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ケース2:1浪して私大文系学部へ進学
お子さんが浪人して私大に合格した高木さん宅(仮名)。予備校の私大文系コースの授業料は、1年間で約120万円かかりました。子どもが受験したい大学はほぼすべて受けさせたので、入試にかかった合計費用は約50万円。同じ学部でも、共通テスト利用入試、一般選抜の2つの方法があるということは、受験のチャンスが複数回あることになりますが、同時に費用もかさみます。親として、ある程度の限度額を設定しておけばよかったと振り返ります。私大文系の授業料は年間約100万円です。
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ケース3:公立高校から美大へ進学
蒲田さん宅(仮名)は、お子さんが理工系学部を目指していたものの、美大造形学部に進学しました。最近は美大でも情報系の学部を取り入れている大学が多く、一般大学と併願する人も少なくありません。ただし、美大は学費が高く、初年度の入学金と授業料などを合わせた納付金は約160万円でした。
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ケース4:私立高校から私大外国語学部へ進学+短期留学
林さん宅(仮名)はお子さんが高校3年で通った個別指導塾に月5万~6万円、夏期講習代は30万円以上かかり、驚いたと言います。私立大3校を受験し、滑り止めの大学1校の入学金約26万円は無駄になりましたが、合格を手にしていたことで安心する材料にはなりました。
外国語学部へ進学後、半年間の短期留学に参加しました。食事込みで寮費は52万円の予定でしたが、円安などの影響を受け、結果的に40万円ほど多くかかってしまいました。留学費用は多めに見積もっておいたほうがよさそうです。
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ケース5:公立高校から私大理系学部へ進学
鈴木さん宅(仮名)はお子さんが部活と両立するため、高校時代は塾には行かずに、通信教育を利用しました。高校3年間で支払った金額は約37万円で、かなり安く済みました。大学受験の時は、入学金や授業料の納入期限を入念にチェックし、お金が無駄にならないように受験スケジュールを立てました。私立大理系の授業料は年間約158 万円でした。大学推奨のパソコンや教材費なども加わり、私立大文系より高くなります。
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ケース6:地方国立大理系学部へ進学+一人暮らし
お子さんが首都圏から北海道大学へ進学した高橋さん宅(仮名)。大学1年の時は学生会館に入り、食事付きで月5万4500円で済んだそうですが、大学2年になるタイミングで一人暮らしを始めました。すると家賃と共益費が1年間で約75万円、ほかに約60万円の仕送りが必要で、加えて年3回の帰省に約8万円がかかりました。国立大学とはいえ、自宅外からの大学進学はかなり費用がかかります。また、理系は大学院に進学する場合も多く、6年間分の費用を見積もる必要があります。
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ケース7:私大医学部へ進学
お子さんが医学部志望だった田中さん宅(仮名)。高校時代の塾の費用は月7万円ほどかかりました。浪人覚悟で臨んだため、受験したのは国立大学1校、私立大学1校。地方国立大学の受験の時は親も付き添い、交通費と宿泊費で10万円ほどかかりました。その大学は不合格でしたが、私立大医学部には繰り上げ合格しました。
医学部の6年間の学費は国公立大学で約350万円、私立大学は2千万~4千万円と幅があります。田中さんのお子さんが通う大学は、私立大学にしては比較的安かったことと、「地域枠」で受験したため、奨学金が支給されたことで、1年次にかかった費用は入学金、授業料など合わせて約300万円でした。私立大学医学部の学費は高額ですが、「地域枠」は条件によって奨学金の返済が免除となるので、地域医療に興味がある受験生には選択肢の一つになります。こういった制度についても、親はしっかりと調べたいものです。
大学進学にかかる費用は決して安くありませんが、現在は利用できる奨学金制度も増えており、返済不要の給付型も少なくありません。大学独自の奨学金制度を設置する大学も増えています。
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大学進学に関するお金について、親子でよく話し合ってみてはいかがでしょうか。
(構成=朝日新聞「Thinkキャンパス」編集部)
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