【大学生活とお金】家賃6万円、横浜でひとり暮らし 授業前には学食で「100円定食」

2024/04/14

■学生生活 お金のリアル(神奈川県横浜市)

「やっぱり大学に行きたい」と静岡県の商業高校から進路変更をして進学した神奈川大学経済学部現代ビジネス学科3年の青木千穂さん(仮名)。高校卒業後は就職するつもりでしたが、もっと学びたいと考えて、大学でマーケティングやビジネスについて学んでいます。地元を離れて、横浜で一人暮らしを送る学生生活やアルバイトについて聞きました。(写真=学食で提供されている「100円朝食」、神奈川大学提供)

大学内事務と焼き鳥屋のアルバイトで月6万円

青木さんは、商業高校で簿記やマーケティングを学んでいるうちに、「もっと勉強したい」という気持ちが高まり、進路を就職から大学進学に変更。神奈川大学への合格を果たしました。

――どうして神奈川大学を選んだのですか。

「やっぱり大学に行きたい」と思った時に、まず高校の先生に相談しました。学校推薦型選抜のリストに神奈川大学があり、成績などの条件が合致していました。また、横浜市にある大学なら、実家のある静岡との行き来もしやすくていいなと思いました。一人暮らしをしてみたかったということもあり、神奈川大学に行こうと決めました。

神奈川大学横浜キャンパス(写真=神奈川大学提供)

――入学した2021年は、コロナ禍の2年目で、まだ対面授業ができていませんでした。

4月に入学してから、大教室での授業を中心にオンラインになりました。静岡から一人で出てきて、周囲に知り合いはいませんでした。大学に行けないので友達もできず、家から一歩も出ない生活が続いたため、いったん実家に戻って、静岡でオンライン授業を受けていました。

そのうちに対面授業が増えてきたので横浜に戻り、アルバイトを始めたり、サークルに入ったりして、少しずつ友達が増えました。

――どのようなサークルに入ったのですか。

大学祭を運営するサークルです。せっかくなら、学生生活を有意義に過ごせる活動をしたいと思いました。また、私はコミュニケーションを取るのが得意ではなく、人と話すのが苦手だったので、こういうサークルならたくさんの人とも出会えるし、自分にプラスになるのではないかと思いました。

サークル内では、活動をサポートする部門に所属しています。縁の下の力持ちというポジションは自分に合っているかも、と思ったからです。ここで活動をしているうちに、人に「どう思う?」と聞かれた時でも、自分の意見を言えるようになりましたし、大学が楽しいと思えるようになりました。

――生活費はアルバイト代でまかなっているのですか。

家賃、水道光熱費などは親が出してくれています。食費の一部や交通費、携帯料金などはアルバイトをして確保しています。いま、2つのアルバイトをしていて、1つは神奈川大学の学内で事務の仕事です。授業の空きコマなどに仕事できるのがいいところです。欠員が出たら新しいアルバイト学生を入れていて、サークルの先輩がこの仕事を辞めるタイミングで、私が引き継ぎました。授業時間に換算してだいたい週に4コマ分、働いています。さまざまな人と接する機会があるので、言葉遣いなどを意識するようになりました。

もう1つは、焼き鳥屋でバイトしています。ここは時給1170円で、週に2、3回の夜、働いています。家から近くて、まかないが出るのがポイントです。小さいお店なので、接客と調理補助のどちらも担当しています。

この2つのバイトで約6万円の収入です。スマートフォンに家計簿アプリを入れて何にいくら使ったかを把握しています。目安としては、食費と日用品は合わせて2万円以内に収めるようにしています。後は少しずつお金をためて、友達との旅行に使っています。去年の夏休みは淡路島に行きました。

昨夏には友達と淡路島旅行へ(写真=本人提供)

のんびりした雰囲気の商店街が好き

――住んでいるのはどんなところですか。

経済学部は横浜キャンパス(横浜市神奈川区)にあり、最寄り駅は東急東横線の白楽駅です。私は駅に近い賃貸マンションに住んでいて、大学まで歩いて約20分です。通学は徒歩か自転車です。

物件を探す時に、父から「1カ月の家賃は6万円以内に抑えて」と言われたので、その予算内に収まる物件をいくつか見て、バス・トイレが別で収納が多めで、ちょっと広い部屋に決めました。

初めて横浜キャンパスに行った時、高校時代に想像していた横浜とは違いました。横浜キャンパスのある白楽には商店街があり、昔ながらの雰囲気が残っていて、いい意味で横浜っぽくないんです。私はマイペースな性格で、せかせかするのは得意じゃないので、自分にも合っていると感じました。

2年次と3年次には、社会教育課程を選択していました。これは、生涯学習や社会教育を担う専門職である「ひととまちをつなぐ人材育成のエキスパート」を育てることを目的にしています。授業を通じて、大学周辺の地域の方々と関わる機会が多くありました。その時に、「どこの出身なの?」と気軽に話しかけてくれたり、名前を覚えてくれたりして、温かい人が多いと感じました。

白楽は横浜の中心部にもすぐに出られるので、とても便利です。静岡の地元は車が必須で、駅まで歩いて行ける距離ではありませんでした。電車も20〜30分に1本しかないので、時刻表を調べておかないと遅刻してしまいます。でも、こちらでは東京方面、横浜方面ともにすぐ電車が来て、最初の頃は友達に「次でも間に合うね」と言われてびっくりしていました。地元から遊びに来た家族や友達もみんな、電車の便利さに驚いています。

栄養バランスのいい「100円朝食」

――自炊や洗濯などの家事には慣れましたか。

実家では家に帰ると温かいご飯が出てきて、洗濯物が畳んでありましたが、今は大学から帰ってきてから全部自分でしなければならないので大変です。料理は、一人暮らしを始めた頃はインスタグラムやYouTubeを見ながら作ったりしていました。最近ではまとめて作って冷凍するなど、工夫しています。

大学に行くのが週1、2回の時期は、昼は学食で500円の定食を食べていました。週5日通うようになってからは、毎日学食だとお金がかかるので、節約のために弁当を持って行きます。前日の夕飯の残りや、冷凍食品を使っていますが、最近の冷凍食品はおいしいです。学食には数量限定の「100円朝食」があるので、1限目の授業がある時に、早めに大学に行ってよく食べています。これはボリュームがあり、栄養バランスもいいので助かっています。

青木さんが自分で作ったご飯、本人提供

私はお菓子作りが趣味で、以前は実家に帰った時にオーブンを使っていろいろなお菓子を作っていました。最近、こちらでもオーブンを手に入れることができたので、早速、作っています。カップケーキやクッキーなど、日持ちがして、少しずつ食べられるものを作っています。

自作のいちごタルト(写真=本人提供)

――帰省は年に何回くらいしていますか。

年4、5回です。一人暮らしを始めた直後は、周りに知り合いが一人もいない上に、コロナ禍で通学できずに友達も作れなかったので、実家から出たことを本当に後悔しました。一人暮らしも3年になりますが、それでもまだホームシックになります。特に実家から横浜に戻ってくる時が一番つらいです。

横浜から静岡まではJRで帰ります。新幹線ではなくて、東海道線で約4時間かけて帰っています。片道3000円くらいです。

――もうすぐ大学4年になり、就活が本格的に始まりますね。

経済やマーケティングの勉強をしたいと思って神奈川大学に進学しましたが、この大学は選択授業の幅が広く、自分の興味のある科目をたくさん選べたのがよかったです。マーケティング関連のゼミも楽しいです。先日帰省した時に、社会教育課程の授業で作成した報告書を持って帰って家族に見せたのですが、「いろんなことを体験させてもらえてよかったね」と喜んでくれました。

卒業後のことはまだ決めたわけではありませんが、静岡に帰るほうに8割ぐらい、気持ちが傾いています。大学で学んだことを生かしていきたいと思っています。

【1カ月の主な費用】

(文=𠮷川明子)

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