日本株反落、ドーハ会議前の原油安と連騰反動-輸出や金融、鉱業安い
長谷川敏郎15日の東京株式相場は4日ぶりに反落。カタール・ドーハでの産油国会議を控えた海外原油価格の下げが嫌気され、前日まで3連騰した反動を警戒する売りも広がった。電機や輸送用機器など輸出株、銀行や保険など金融株が安く、鉱業は東証1部33業種の下落率1位。
TOPIXの終値は前日比9.95ポイント(0.7%)安の1361.40、日経平均株価は63円02銭(0.4%)安の1万6848円03銭。
三菱UFJ国際投信の宮崎高志戦略運用部長は、「目先筋が一方向に売っていたポジションをイベント前に巻き戻した動きが一巡した。企業の生産性が上がらず、中長期でみて日本株が選好されにくい中では目先筋の売買に振らされやすい」と話した。長期資金が入りづらい状況で、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などイベントが終了した来週は、「また目先筋がショートを振るリスクもみておかなければならない」と言う。
14日のニューヨーク原油先物は0.6%安の1バレル=41.50ドルと続落。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国が参加し、17日にドーハで開かれる産油国会議による供給への影響は限定的との見方から売りに押された。企業決算の内容を見極めたいとし、同日の米国株も小動き。
1カ月ぶりとなった前日までの3連騰で日経平均は1160円(7.4%)上昇、きょうの日本株は週末を前に直近急伸業種を中心に持ち高整理、損益確定の売りが先行しやすかった。3連騰中の上昇率上位は銀行、保険、非鉄金属、輸送用機器など。こうした業種群には戻り売り圧力が強かった。岩井コスモ証券投資情報部の堀内敏一課長は、「3月にもみ合いを続けて累計売買高も厚い株価水準まで戻ったため、ここから上値を一気に抜けるには材料も必要」とみている。
もっとも、為替の落ち着きを背景に下げも限定的。この日のドル・円相場はおおむね1ドル=109円50ー70銭台で推移、東京株式市場の14日終値時点は109円43銭だった。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、為替介入は混乱を招く変動回避の場合に限り正当化できる、と発言。米財務省は日米財務相会談後、ルー長官と麻生太郎財務相が「為替相場に関するG7とG20のコミットメントを全ての国々が順守する重要性で合意した」との声明を発表した。岩井コスモ証の堀内氏は、「為替介入を認めるラガルド発言に加え、日米財務相声明もあり、投機筋はやりにくくなった」と言う。
一方、気象庁によると、14日午後9時26分ごろに熊本県を震源に強い地震が発生。県内益城町では震度7の揺れを観測した。三菱電機やホンダなど県内に生産拠点がある企業は工場の稼働を停止した。みずほ証券によると、日本全体に占める熊本の国内総生産(GDP)は1.1%程度とあって、相場への直接的な影響は限られた。野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「熊本県には製造業の工場や拠点があり、サプライチェーンを通じ個別企業には影響を与える可能性がある」と指摘する。
東証1部33業種は鉱業、銀行、電機、その他金融、輸送用機器、保険、不動産、証券・商品先物取引、繊維、非鉄金属など27業種が下落。パルプ・紙や建設、空運、水産・農林、陸運、情報・通信の6業種は上昇。東証1部の売買高は19億8537万株と4営業日ぶりの20億株割れ、売買代金は2兆593億円。値上がり銘柄数は565、値下がりは1262。
売買代金上位では、シティグループ証券が投資判断を下げた小野薬品工業が大幅安で、子会社が熊本県に工場を持つソニーも安い。日本電産や村田製作所、富士通、アルプス電気、国際石油開発帝石も下げた。半面、清水建設やコナミホールディングス、トレンドマイクロ、ドイツ証券が投資判断を上げたSCREENホールディングスは高い。