ウォーレン・バフェット氏。2006年撮影。
David Silverman/Getty Images
- アメリカ小売大手、シアーズ・ホールディングスは15日朝(現地時間)、連邦破産法11条の適用を申請。売り上げ減少のスパイラルを止めることはできなかった。
- かつて「次のウォーレン・バフェット」と呼ばれた同社CEO、エディー・ランパート氏も辞任する。
- ちなみに、バフェット氏は2005年にシアーズとランパート氏の破綻を予測していた。
- 「長期間、売り上げが低下している小売業を回復させることは非常に難しい。復活した小売業の事例を思いつくだろうか?」と当時、バフェット氏は語った。
シアーズ・ホールディングを率いるヘッジファンド・マネージャー、エディー・ランパート氏の終わりは近い。そして、ウォーレン・バフェット氏の10年前の予測は現実になろうとしている。
10月15日(現地時間)、アメリカ小売大手のシアーズ・ホールディングスは連邦破産法11条の適用を申請、142店舗以上の閉店とランパート氏が同社CEOを辞任することに同意したと発表した。
発表は、かつてはアメリカを象徴する小売業だったシアーズの長きにわたる最終局面の最後の動きとなりそうだ。
かつて「次のウォーレン・バフェット」と呼ばれたランパート氏とシアーズの破綻は、13年前にバフェット氏が予測していた。
2005年に行われたとされる、カンザス大学の学生たちとのインタビューでバフェット氏は、シアーズの復活に取り組むランパート氏について質問された。
バフェット氏の返答は、ランパート氏の行く末は、シアーズの止むことのない没落とともにあるというものだった。
「ランパート氏はとても賢い人物。だがKマートとシアーズの合併は困難な取り組み」とバフェット氏は学生たちに語った。
「長期間、売り上げが低下している小売業を回復させることは非常に難しい。復活した小売業の事例を思いつくだろうか?」
またバフェット氏は、ランパート氏の取り組みを自身が1970年代に行った小売業への投資と比較した。
バフェット氏にとっては、売り上げが低迷した店が先進的な店に追いつくことは不可能なこと。消費者の嗜好が絶え間なく変化するためだ。
「小売業は動き続けるターゲットを狙うようなもの。昔、人々は路面電車の駅から遠く離れた店に行こうとはしなかった。駅の近くの店には人が溢れた。
1966年に我々はボルチモアにある百貨店を買収した。だがすぐに長期間、勝者であることはできないと理解した。極めて短い期間のみ。もはや時代遅れの流通システムだった。
我々はできることはすべてやった。エスカレーターの導入、顧客の信用枠の拡大、そして優秀な人物に経営を任せた。だがうまく行かなかった。
結局、1970年頃には売却した。その店は今はもうない。賢い人物が経営するだけでは不十分」
バフェット氏は、コストコやウォルマートなど、より小さな粗利益率ながら、優れた経営を行っている競合にも触れた。シアーズとKマートにとっては、それらと競合することは難しかった。
「コストコの粗利益率は10〜11%、ウォルマートとサムズ(Sam's)よりは大きい」とバフェット氏。
「それと比べると、百貨店の粗利益率は35%。こうした競合と戦うことは難しい。百貨店は長年の既存顧客を維持しようとした。だが既存顧客は何も買わなかった」
これがシアーズで起こったこと。ランパート氏は店舗の縮小と資産の軽減に注力したが、必要な売り上げや利益を生み出すことはできなかった。代わりに顧客を失い続け、シアーズもKマートも競合に差を付けられた。
「いくつの小売業が低迷し、その後、復活したか?」とバフェット氏。
「多くはない。私はほとんど思いつかない」
バフェット氏が「オマハの賢人」と呼ばれるには、それだけの理由がある。
[原文:Warren Buffett predicted the fall of Eddie Lampert and Sears over 10 years ago]
(翻訳、編集:増田隆幸)