恵比寿映像祭2025「Docs —これはイメージです—」が、東京都写真美術館ほかにて、2025年1月31日(金)から2月16日(日)まで開催される。

「ドキュメント／ドキュメンタリー」を再考

映像表現やメディアにまつわる展示、上映、ライヴ・パフォーマンスなどを展開してきた国際フェスティバル「恵比寿映像祭」。2025年は「Docs —これはイメージです—」と題して、メディアの変容に着目しつつ、19世紀から現代にいたる多様な表現を紹介することで、「ドキュメント／ドキュメンタリー」を再考してゆく。

19世紀から現代へ、メディアの変容

書類や文書を意味する「ドキュメント(document)」は、事実に基づく情報の記録を指しており、そこには言葉ばかりでなく、写真や映像といったイメージも含まれる。そして、この言葉を形容詞化した「ドキュメンタリー(documentary)」は、ドキュメント的という形容詞のみならず、記録映画という名詞も意味している。

実写映画の始まりは、1895年、フランスのリュミエール兄弟による《工場の出口》にまで遡る。当時の人々は、日常で目にする光景を、まるで実際の出来事であるかのように記録・再生する映画に驚嘆したという。しかし現在では、写真や映像によって日常を記録し、共有することは自然な営みとなっている。加えて、写真や映像はデジタルデータへと変換されるなど、事実とイメージの関係はより複雑なものへと変化したといえる。

トニー・コークスの日本初公開作品などを展示

恵比寿映像祭2025では、国内外のさまざまな映像表現を通して、言葉とイメージの関係性を考察。歴史的・文化的瞬間を再文脈化する作品を制作するアメリカのメディア・アーティスト、トニー・コークスによる日本初公開作品を会場各所で展示するほか、複数の語りを再構築する作品を手がけてきた台湾のアーティスト、劉玗(リウユー)によるヴィデオと空間インスタレーション作品、タイのカウィータ・ヴァタナジャンクールが2024年のヴェネツィア・ビエンナーレで発表した映像作品などを公開する。

杉本博司をはじめとするコレクション作品

また、「ドキュメント／ドキュメンタリー」を再考するというテーマのもと、コレクション作品も展示。現代美術家・杉本博司や、初期の写真・カロタイプを発明したウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットなどによる写真作品に加えて、古川タクや藤幡正樹のメディア作品も紹介する。

小田香や小森はるからによる作品も

さらに、第2回「コミッション・プロジェクト」で選出された、4名のファイナリストによる作品も。同プロジェクトは、日本を拠点に活動する気鋭のアーティストを選出し、作品制作を委嘱するもの。今回は、小田香がイメージと音を介して「人間の記憶のありか」を探求する作品を展開するほか、小森はるか、永田康祐、牧原依里らが、恵比寿映像祭2025のために制作した作品を発表する。

開催概要

総合開館30周年記念 恵比寿映像祭2025「Docs —これはイメージです—」
会期：2025年1月31日(金)～2月16日(日)
会場：東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス 各所、地域連携各所 ほか
時間：10:00〜20:00(2月16日(日)の最終日は18:00終了)
※コミッション・プロジェクト(東京都写真美術館 3F展示室)のみ3月23日(日)まで。時間は、10:00〜18:00(木・金曜日は20:00閉館)

■参加アーティスト
ジュリア・マーガレット・キャメロン、トニー・コークス、プリヤギータ・ディア、藤幡正樹、古川タク、イトー・ターリ、劉玗、斎藤英理、杉本博司、ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット、角田俊也、カウィータ・ヴァタナジャンクール
■第2回コミッション・プロジェクト
小森はるか、牧原依里、永田康祐、小田香

【問い合わせ先】
恵比寿映像祭2025事務局
TEL:03-6161-3144(平日 10:00〜18:00)