緩和医療学科
「緩和医療」は、生命を脅かす疾患に直面した患者さんとその家族に対して、身体や心のつらさを和らげることによって、人生の質、生活の質の維持・向上を目指す医療です。
講座・教室からひとこと
緩和ケアの源流は中世のヨーロッパに辿ることができるといわれ、巡礼者や旅人たちに食事や休息の場を提供する修道院や教会の附属施設を、人々はホスピスと呼びました。ホスピスの語源は、「客人を手厚くもてなす」という意味のラテン語「hospitium」に由来していると言われます。その後ホスピスは、病人や貧困者、孤児等の避難する場として役割を経て、がんの終末期を迎えた患者に対し、身体的苦痛をはじめ、心理社会的苦痛を含む全人的苦痛(total pain)を和らげ、人生の最後の時を充実して過ごせるよう支援する取り組みへと発展し、その活動全体が緩和ケアと呼ばれるようになりました。現代では、疾患の時期によらず診断された時点から緩和ケアは提供されるべきであるという概念が広く認識されるようになり、がん治療において、外科治療、薬物療法、放射線療法とならび、緩和ケアは第4の治療であると考えられています。当科はこれからも、緩和ケアの源にある「人を手厚く癒す精神」を大切に、病と向き合う全ての方の希望を支える医療を目指し、診療・研究・教育を行っていきたいと考えております。
講座・教室の基本理念
医療スタッフと良好な連携のもと、病と向き合う全ての方の希望を支える医療を目指します。
主な研究内容および診療内容
<診療>
- がん疼痛をはじめとする身体的苦痛の緩和
- 不安や気持ちの落ち込みなどの精神的苦痛への対応
- 治療に伴う就労問題、医療費など、生活に関わる様々な問題への対応
- 治療方法や療養方法に関する意思決定支援
<研究>
- がん疼痛に対する新たな鎮痛方法の開発
- がん性腹膜炎への症状緩和に関する研究
- 家族ケアに関する研究
- 小児がん患者の支援に関する研究
- 地域コミュニティにおける緩和ケア提供体制に関する研究
- 肺癌の治療学