2022 年 100 巻 1 号 p. 219-232
気象庁では、降雪量および、雨や雪などの降水種別の面的予測において鍵となる要素の一つである地上気温を予測するため、格子形式の気温ガイダンスを運用している。運用中の気温ガイダンスではカルマンフィルタを用いており、入力として地上気温の観測値と観測地点周辺の数値予報モデル出力値のみ利用している。そのため、数値予報モデルで前線の予測に位置ずれがある場合や、極端な低温または高温が観測されるような場合には、気温を適切に予測することが困難となっている。
本研究では、関東周辺での面的な地上気温の予測手法として、エンコーダー・デコーダーモデルに基づく畳み込みニューラルネットワークを提案する。検証の結果、提案手法は運用中の気温ガイダンスの予測精度を大幅に改善するとともに、前線の位置ずれや極端な気温予測においても数値予報モデルのバイアスを修正しうることがわかった。