佐藤究さんの『幽玄F』が第37回柴田錬三郎賞を受賞しました。
【第37回柴田錬三郎賞】
『幽玄F』佐藤究(河出書房新社)
◼︎柴田錬三郎賞とは
【選考委員】
逢坂剛氏
大沢在昌氏
桐野夏生氏
篠田節子氏
林真理子氏
【推薦コメント】
同世代日本人の中でも最高峰の作家が、「戦闘機」というテーマに対して小説という形式で描くことができる最高到達点を描いている
――小川哲
現代以降の日本の空虚さを、近代の「空虚」から無限のほうへ、真の幽玄へと接続可能なのだと転覆させる。こんな幽玄へのアクセスは見たことがない
――古川日出男
腹にこたえるタフな小説。頸(つよ)く熱い物語の動脈が脈打ち、現実の社会をも照射することで円環をなす
――真藤順丈
三島文学や仏教を幾重に参照する重厚さを兼ね備えながら、めくるめく展開で一気に読ませる。強烈な迫真性
――辻田真佐憲
求道的なエンターテインメントでありながら、後半は、小説『シャドー81』ばりの意外性や映画『ミッション:インポッシブル』を思わせる展開で楽しませてくれる
――大森望
極限に高機能化されたコクピットにヘルメットマウンテッドディスプレイを装着したパイロットが着座した状態は、過去の何よりも「情報的に最適化された曼荼羅」と呼ぶに相応しい情景
――マライ・メントライン
時間も忘れて一気読み。すごい。空が透を惹きつけたように、この小説は読者の心を掴む。何かを追い求める人間の在り方よ。
――逢坂冬馬
8ページの人名を見て「ひっ」と声が出た。かの先行作の円環を、人間の肉体が耐え得る最高速度で、虚天に移し替える。
――飛浩隆
自由に空を飛べない国、日本の悲劇を機械の官能で描き出す。ぼくらは蛇の呪いを解けるのか。
――東浩紀