ムスメっこの「対自的負けず嫌い」は成長とともにすくすく成長してった。
負けず嫌いのベクトルのつづきである。
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そんで、そういう
じぶんにはなかった価値観に触れてから
考え方? ムスメっことの接し方を少しずつ変えてった。
ムスメっこのやる気スイッチをどう押すかという意味で。
ただ、解釈のズレも生じた。
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ムスメっこが中2の夏。
夏休みの宿題に「都立高校の学校説明会に行ってそのレポートを出す」というのがあった。
それを踏まえてお盆前だかの三者面談で、まだちょっと先だけどだんだん現実味を帯びてくるであろう希望進路について話し合いましょうってことになってた。
めいめいで説明会の予約を取り、親といっしょに行くという課題。
キクチは「○○高校に行ってみよう」とムスメっこに提案し、行ってきた。
そこで(キクチのくせに)ムスメっこに説教くさくコウほざいた。
「ななちゃん、何でお勉強をがんばったほうがいいかわかる?」
「それは夢の選択肢が広がるからなんだよ」
(いま考えても、クソエラッソーでヘドが出るわ。。。)
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「たとえばいまのななちゃんの学力で100ケ中50ケの選択肢があるとしたら」
「もし、進みたいものが51番目にあったとしてもそこは選べない」
「ただ、がんばって70ケになったら選択肢に入ってくるし、あるいはもっとほかの新しい可能性も見えてくるかもしれないじゃん?」
「さらにもっとがんばれて100ケになったら、選びたい放題じゃん!」
「何を言いたいかというとね」
「70ケになったら70番目を目指せるってんじゃなく」
「1〜70番目までよりどりみどりってことで」
「そこで30番目を選んだとしても、31ケから選ぶ30番目と70ケから選ぶ30番目はぜんぜん違うってこと」
「言ってる意味、わかりる?」
ナドト。
「よおくわかった!」とムスメっこ。
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で、上記した○○高校に見学をさそったのは、
クソみっともない親のエゴが含まれておって。
いちばんの動機は。
コロナで途絶えちゃったけど、毎年秋にユキねえさんのお知り合いのチームが参加するリレーマラソンにイッチョカミさしていただいてて。
そのひとたちは、ユキねえさんを除いてみなさんキクチより1まわりぐらい上なんだけど、ほんとうにものすごくすてきなオトナたちで。よくよく聞いたら○○高校の同級生の集まりだという。
そんで「○○高校いいなあ!」おもっちゃったのね。
「ムスメっこもこういうオトナになってほしいなあ」ナドト。
当時の成績からも、けして目指せない目標ではなかったし。
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おまけに、これも吐いて捨てるほどくだらねえ理由だが。
○○高校ってのは、キクチが行きたかった大学の近所にあって。
実際、その大学に進むひとの数が全国ナンバーワン(ってのをむかしサンデー毎日かなんかで目にしたことがある)。
ムスメっこはクソ父親オブより5段階ぐらいお勉強ができるので。
「ゆくゆくは○○高校からその大学に行ってくれたらいいなあ」ナドト。
ロンのモチ本人には言ってないケド、クソ勝手な仇討ち気取りでおもってたこともあって。
マジ、そういうのクソ恥ずいよなっ。
ってのは、余談中の余談で。
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しかしして、中3になるころ。
「○高校にどうしても行きたい」って言い出した。
テニス部の憧れのパイセンが合格して。
「来年、ななこも来なよ」って言われて火がついちゃったらしい。
○高校も入試問題が自校作成の人気校ではあるが。
「ええっ! なんでそこ?」最初はおもった。
序列的に言えば○○高校に次ぐところで、
「目指す」という意味ではいささか余裕すぎる気がしたからだ。
まあ、落ちちゃったんすけどね。
要するに。
勉強をがんばって選択肢を広げたムスメっこは。
語弊があるかもしんないけど。
「70ある選択肢の中から、じぶんがどうしても行きたい30番目を選んだ」
ということがでける。
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長くなったので不本意にまだつづけるけど。
負けず嫌いのベクトルの違いが露呈したわけで。
キクチ型?だと「70目指せ」なら70番目の学校を目指すのに。
ムスメっこ型?だと「70になった」なら1〜70の範囲のベストフィットをガチで目指したというわけ。
ムスメっこは都立志望だったから、
押さえの私立も選ばなきゃいけなかったんだが。
にょうぼうと分担して5校ぐらい見に行った中で。
ムスメっこがほぼ第一印象で選んだのは、え?ソコ?ってとこだった。
学力っていう数字だけの尺度で、ね。
あくまで当時は、ね。
当時は都立に絶対受かるでしょってキクチは思い上がってたから。
「まあ、いいんじゃん」って軽くスルーした。
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ムスメっこはカノジョなりの尺度ですごく考えた結果だし。
けっきょく、その高校にお世話になることになったんだけど。
高校に入ってからこれまで、毎日ものすごく楽しそうで。
いいおともだちもいっぱいできたみたいだし。
クソ父親オブの気持ちの折り合いって意味じゃなく、結果的にムスメっこはその学校でよかったんだって心底おもえるようになった。
価値観の相違ってバカにならねえなっていうか。
じぶんの価値観・選択肢の捉え方はしょせん、狭えところにしかなかったんだみたいなことをつおくおもったんであった。