出版社内容情報
時代の濁流が兄弟の運命を翻弄する。
フランス革命が起き、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元・吟遊詩人が射殺された。
容疑者は「四つ首場」の改修をまかされていた三兄弟。五人の関係者が襲撃者を目撃したが、犯人を特定することはできなかった。三兄弟は容姿が似通っている三つ子だったからだ。
DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?
内容説明
フランス革命が起き、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元・吟遊詩人が射殺された。容疑者は「四つ首城」の改修をまかされていた三兄弟。五人の関係者が襲撃者を目撃したが、犯人を特定することはできなかった。三兄弟は容姿が似通っている三つ子だったからだ。DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?時代の濁流が兄弟の運命を翻弄する。
著者等紹介
潮谷験[シオタニケン]
1978年京都府生まれ。第63回メフィスト賞受賞。2021年、デビュー作『スイッチ 悪意の実験』が発売後即重版に。同年『時空犯』で「リアルサウンド認定2021年度国内ミステリーベスト10」の第1位に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
126
読み応えがあった一冊。フランス革命後のヨーロッパの小国で起きた殺人事件。容疑者は容姿そっくりな三つ子の兄弟。科学的な捜査法もまだない時代にどうやって三人の中から一人を特定するのか?できるのか?と読ませるミステリ。犯人解明までの過程はスピード感、秘められた過去の導入から増す複雑さといい良かった。そしてついに真相が判明したと思いきやそこからの更なる展開がうれしい。歴史背景を交え拡がり見せる三つ子を取り巻く事情、着地の読み応えに満足。終盤の伯爵の存在感、増す人間味も味わい深い。手記ならではの残される余韻も綺麗。2024/08/12
yukaring
80
時は中世ヨーロッパ。ある男が殺され目撃された容疑者はなんと三つ子?!当然、三兄弟は誰も自分が犯人だとは言わない。DNAも指紋鑑定もない時代に三人の中の誰が犯人かを論理のみで特定できるのか?中流貴族の次男クロによる手記形式の物語。彼の友人だった三兄弟の栄光と挫折、彼らが巻き込まれた不思議な殺人事件が語られるがとても雰囲気があり、この時代の濁流のような流れに翻弄される人々の悲哀がよく表現されている。次第に明らかになる犯行の背景と悲しい動機、ラストに待つ驚きの真相。とことんロジックを楽しめるミステリだった。2024/09/03
aquamarine
73
フランス革命時代、ヨーロッパの小国で起きた殺人。容疑者は三つ子の三兄弟の誰か。DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか…?物語は三つ子の友人である、三つ子の領主の書記官の手記という形で示される。登場人物がみな個性的なので読みやすかった。話はもちろん犯人が特定されて終わりなわけではない。そう思っていながらも、ラストの二転三転には作者の意図通りに翻弄されてしまった。意外にも一番心に深く残ったのは、歴史的背景が人々を翻弄し作り上げられた線の堅牢さかもしれない。2024/07/29
雪紫
63
貴族の私生児であった三つ子の元に父親が現れる。だが、その父親は、近くに5人もいるその場で射殺され、逃亡。その顔は・・・三つ子の誰か。そして見付かった三つ子は薬で眠らされていて・・・。コナンの三つ子別荘か!!特殊設定なしの大勝負。ミステリ好きならあらすじ見て思い付くひねりを丁寧に潰し、あくまで三つ子の誰かというフーダニットを貫いた本作。だがその後が本番というように歴史の非情さと隠された事実と想いにやるせなくなる。三つ子と幼馴染の友人である「私」との良き友情物語であり、寂しい余韻が残った。2024/08/16
オフィーリア
60
舞台はフランス革命下の中世ヨーロッパ、科学捜査の存在しない時代にロジックのみで犯人を突き詰めていく歴史もの本格ミステリ。激動の時代に翻弄されながらも足掻く三つ子や脇を固めるキャラクターも魅力的で、満足な読後感の歴史ものでございました。2024/09/13