出版社内容情報
歴史家である著者は、フィレンツェ国立古文書館でカフカス出身の奴隷カテリーナの解放証書を発見した。起草者は公証人ピエロ、すなわちレオナルド・ダ・ヴィンチの父であった。
持つものすべて、身体、自由、未来を奪われたチェルケス人の女奴隷。彼女がレオナルドの母なのか。関連史料を総動員して謎を解く、壮大な歴史小説である。
15世紀、光と闇が交錯する地中海世界。少女はカフカスの高原で捕縛され、ドン川河口の古都ターナへ。黄金色のドームが輝くコンスタンティノープルをへて奴隷交易の中心地ヴェネツィア、そしてルネサンスのフィレンツェからヴィンチ村に至る。各章の語り手は、東方を夢見た商人、ガレー船の船長、ロシア人の女奴隷、典籍収集家の騎士、破滅の縁を経験した実業家など、実際に歴史の中に生きた人びとである。
レオナルドは幼少期をカテリーナと過ごした。自然や宇宙の見方、生きとし生けるものへの愛、部族の神話や伝説、天使の美を宿す顔のイメージなどは、母から受け継いだものだ。長い別離のあとで、最期を予感したカテリーナは巡礼団に加わり、息子レオナルドのいるミラノをめざした。
難民、児童労働者、最下層に生きる21世紀のカテリーナは至るところにいる。だから著者は、新発見を学術論文でなく、小説として多くの人に向けて書いたという。
内容説明
歴史家である著者は、フィレンツェ国立古文書館でカフカス出身の奴隷カテリーナの解放証書を発見した。起草者は公証人ピエロ、すなわちレオナルド・ダ・ヴィンチの父であった。持つものすべて、身体、自由、未来を奪われたチェルケス人の女奴隷。彼女がレオナルドの母なのか。関連史料を総動員して謎を解く。壮大な歴史小説である。
著者等紹介
ヴェッチェ,カルロ[ヴェッチェ,カルロ] [Vecce,Carlo]
1959年生まれ。現在、ナポリ東洋大学のイタリア文学教授。ミラノ・カトリック大学でペトラルカの専門家ジュゼッペ・ビラノヴィッチに師事し、1982年博士号を取得。ルネサンス期の文学と視覚文化に焦点を当てたイタリアとヨーロッパの文化的関係について研究。その後レオナルド研究の第一人者カルロ・ペデレッティのもとでレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿(ヴァチカン図書館所蔵『絵画論』、大英博物館所蔵「アランデル手稿」1998年)を出版。併行して古文書の文献学的調査も実施した。数々の展覧会や国際会議の企画に参画している
日高健一郎[ヒダカケンイチロウ]
1948年生まれ。筑波大学名誉教授、工学博士。専門は西洋建築史(ルネサンス建築史・ビザンティン建築史)、世界遺産学。東京大学工学部建築学科卒業後、1975‐77年イタリア政府給費留学生としてローマ大学で研究。これまで北アフリカ・中東の初期ビザンティン建築のほか、ルーマニア、セルビア、チュニジア、リビアなど各地で調査を行う。筑波大学に世界遺産学専攻を開設し、専攻長をつとめた。イタリア政府「マルコポーロ賞」を共同受賞。ミラノ工科大学で招聘教授として建築史を担当。『ハギアソフィア大聖堂学術調査報告書』(共編・中央公論美術出版、2004)で建築史学会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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