【150秒の青春】箕面自由チアを率い34年で41度V~野田監督「優しい人が勝つ」

チアリーディングの名門でもある箕面自由学園(大阪)は、なぜこんなに強いのか。夏のジャパンカップ、冬の全日本高校選手権と創部34年で全国制覇すること41回。生みの親でもある野田一江監督の独特の指導法、教育論とは―。名将列伝の第2回。

その他スポーツ

名将列伝〈2〉

〈目次〉

■チーム形成…組織に欠けていい人は1人もいない~WBC栗山監督の言葉

■「優勝」は優しい人が勝つ…挑戦し失敗しても助けてもらえる

■「ありがとう」を言ってもらえる人間形成…誰かを蹴落としても人の心は動かない

■若かりし頃の私…1度も感謝したことがなかった

■教えるのは自分を信じる勇気…できないことを叱ってはいけない

■まだ続く夢…止まることのない成長

箕面自由学園チアリーダー部GOLDENBEARSの選手たちと記念撮影する野田一江監督(中央)(撮影・岩國英昭)

箕面自由学園チアリーダー部GOLDENBEARSの選手たちと記念撮影する野田一江監督(中央)(撮影・岩國英昭)

教えるのは自分を信じる勇気~常に笑顔、幸せと強さを招く「野田語録」 

箕面自由学園にチアリーダー部が誕生したのは1991年(平3)のことだった。

当時まだ20代だった野田監督は、この1月に還暦を迎える。

長い年月をかけゼロから育ててきたチームは、日本のチアリーディング界において女王の座であり続けている。

たくさんの苦労があっただろう。

だが、そんなことはみじんも感じさせない。

ハキハキとした言葉で、輝く太陽のような笑顔で、周囲の人たちに「幸せ」をまき散らしているような、そんな人である。

もうすぐ2024年が終わろうとしていた昨年12月30日のこと。

普段から練習をしている桂門ホールに、たくさんのOGやその家族が集った。

みんなは野田監督を、旧姓で「一木先生」と呼ぶ。

時には厳しく、まるで親子のような愛情を受けて過ごした高校3年間は、人生においてかけがえのないものになる。

大会でメンバーに入った選手も、そうでなかった選手もみな平等で、みんなが本気で頂点を目指してきた。

ただの日本一のチームではない。

人間形成に重きを置いたチームの指導法とは、どんなものだろうか。

独特の教育論を聞いた。

〈全国高校ラグビー〉東海大大阪仰星―常翔学園の準決勝(1月5日)を観戦した野田監督。東海大大阪仰星ラグビー部の湯浅大智監督、2023年夏の甲子園を制した慶応高野球部の森林貴彦監督らスポーツ界に深い人脈がある

〈全国高校ラグビー〉東海大大阪仰星―常翔学園の準決勝(1月5日)を観戦した野田監督。東海大大阪仰星ラグビー部の湯浅大智監督、2023年夏の甲子園を制した慶応高野球部の森林貴彦監督らスポーツ界に深い人脈がある

本文残り85% (4971文字/5843文字)

編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。