タカラジェンヌを育てる宝塚音楽学校(中西達也校長)の第112期生入学式が19日、兵庫県宝塚市の同校で行われた。倍率12・0倍の競争を勝ち抜いた40人が宝塚歌劇の舞台へ向け、声楽やダンスなどの稽古に2年間励む。
コロナ禍のため控えていた報道陣への公開も5年ぶりに再開。マスクなしで斉唱や上級生が一人一人の制服に校章を着ける恒例のセレモニーも実施された。
式後に代表者4人が取材に応じ、東京都出身の森永涼さんは「ずっと夢だったグレーの制服を着て、校歌を歌うことができて、宝塚音楽学校の一員に慣れたんだと実感がわきました」と笑顔。新入生総代で千葉県出身の今井咲さんは憧れのタカラジェンヌに雪組男役の朝美絢を挙げ、「りんとして華やかな男役さんになりたい」と意気込んだ。さらに同期の印象を聞かれると「元気でおしゃべりが好きな子が多い。まだ出会って5日ですが、ずっと話が絶えなくて笑顔が絶えない期だと思います」と笑わせた。
宝塚歌劇団では昨年9月に宙組に所属していたタカラジェンヌが転落死。歌劇団側が上級生らによるパワハラを認めて遺族側に謝罪し、3月28日に合意書を締結していた。
祝辞では宝塚歌劇団の村上浩爾理事長(57)が登壇。「宝塚には芸の継承、舞台を安全に遂行するために必要なルール、慣習、いろいろな決まりごとがあります。必要だからこそできてきたのですが、中には古くからの伝統、慣習が積み重なって、非合理的、過剰な負担、気遣いが生じているところもあります」と説明。「これから時代に合わせて、アップデートしていこうとしていますし、開始しています。歌劇団と音楽学校がより連携しながら、しっかりと環境を構築していく。後戻りしない決意を固めています」と呼びかけた。