先日ここで紹介したブラウンスイス種。岡山県の有名なチーズ工房である吉田牧場から山口県の梶岡牧場に引き取られ、30ヶ月齢という、乳用種にしては長い肥育期間で出荷されたお肉だ。
これ、ドライエイジングに向くなあ、と思っていたのだが、すでに!もともとのブラウンスイス雄を生産した吉田さんからサカエヤさんへ「熟成してね」と渡された部位があり、特別にお分けいただいた。
じつにプリンプリンした佳いお肉です。包んであったミートペーパーがじっとり濡れていたので、肉の中の自由水を完全に抜ききった、深い熟成度合いではない。新保さんは、その肉の持ち味がなくなるような深い熟成を、意図的にしないことがある。このブラウンスイスに関しても、ほどのよいところで止めておいたということだろうと思う。
で、焼きました。
右側がロース芯、左側がカブリです。
僕は、ロースを選ぶ際には、可能な限りリブロースを選ぶ。ロース芯とカブリの食感の双方を楽しめるからだ。
さてこのお肉、とても美味しかった!ブラウンスイスの「もとの味」が消えない程度の熟成なので、熟成香がブンブンと匂うようなことはない。しかし、旨みは確実に増し、そしてやや引き締まった食感だったのが確実に柔らかくなっている。
このブラウンスイス、僕の好みとしては60日程度の長さで熟成したものを食べてみたいところだ。おそらくこの健全で、たんぱく質の結合が濃密な肉質であれば、それくらい熟成をかけても味が伸びていく方向にいくと思う。
なかなか値が付かない、ホルスタイン以外の乳用種オスのお肉。そこに、通常とは違う価値をつけようと取り組む梶岡くんの取り組み、実に興味深いではないか。
なかでもこうした、エイジドビーフにするという方向性はアリだと思う。今後の展開を楽しみにしている。サカエヤ新保さん、お肉を分けていただいてありがとうございました!