性の科学
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早漏に悩む29歳男性 パートナーから「早い」と不満を言われてクリニックへ…持続時間を延ばせた意外な治療薬
抗うつ薬を使うのはなぜ?
射精は、性的刺激を受けると脳が指令を出して起こります。国際性機能学会は、「挿入前もしくは挿入後1分以内に射精してしまう状態」などを早漏と定義しています。原因は、うつ、ストレス、不安、過去の性的経験など、様々です。
早漏を改善させるために使われているのが、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」という抗うつ薬です。
射精しようとする際、「セロトニン」という神経伝達物質が、それを抑える役割を果たしていると考えられています。そこで、SSRIを服用してセロトニンの働きを強めることで、改善が期待できるとされています。
Aさんが服用しているパロキセチンもSSRIで、国際性機能学会は治療薬として推奨しています。ただ、日本では、早漏治療に使用する場合、適応外使用となります。
同クリニック東京院院長の小堀善友さんによると、性行為をする前に服用する方が一般的ですが、Aさんのような飲み方もできます。万一、副作用が出た場合は、服用を中止します。
小堀さんは「日頃の診察から男性の3~4割は早漏で悩んでいるのではないかと感じています。性行為は、自分もパートナーも満足することが大切です。気になる人は、性機能が専門で早漏治療を手がけている泌尿器科医に相談してみるとよいでしょう」と話しています。(読売新聞メディア局 利根川昌紀)
小堀善友(こぼり・よしとも) 泌尿器科医。1975年、埼玉県生まれ。2001年、金沢大学医学部卒。09年、獨協医科大学越谷病院泌尿器科。14年、米イリノイ大学シカゴ校招請研究員。21年から、「プライベートケアクリニック東京」東京院院長。専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症。
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