キャベツの高騰続く 平年の3.3倍 なぜ?

「500円台では手が出ない」「ホイコーローやめる」

スーパーなどで販売されるキャベツの価格は、去年の夏の猛暑や12月に東日本と西日本の太平洋側で雨が少なかった影響などで平年の3.3倍と高値が続いています。

家庭や飲食店に影響が直撃しています。

農林水産省はキャベツやにんじんなど8種類の野菜の店頭価格を全国470か所で調査しています。

去年12月23日から25日までの3日間で調べたところ、キャベツの平均価格は1キロあたり453円で、平年のおよそ3.3倍になっています。

キャベツの平均価格は去年11月以降、7週連続で平年の2倍以上の高値が続いています。

農林水産省によりますと、キャベツは愛知や千葉などの主な産地で去年夏の高温に加え、先月、気温が低く雨が少なかったことなどから、十分な大きさに育たないものが多かったということです。

都内のスーパーでは

東京・墨田区にあるスーパーでは8日、キャベツ1玉が税込みで537円で販売されていて、例年の同じ時期の3倍近い値段となっています。この店では、千葉や群馬で生産されたキャベツを仕入れていますが、去年の夏の高温に加え、先月1か月間に雨が少なかった影響などで、高値が続いているということです。

60代の女性は「今まで1玉100円台が相場だったので、500円になってしまうと手が出せません。きょうはキャベツでホイコーローを作るつもりでしたが、チンジャオロースーに変更します」と話していました。

飲食店にも影響

キャベツの価格高騰が続く中、飲食店のメニューや価格に影響が出ています。東京都内の野菜トッピングが人気のラーメン店ではキャベツを使ったメニューを休止せざるを得なくなっています。東京・府中市のラーメン店は、キャベツやほうれんそうが山盛り乗った「野菜盛りラーメン」が看板メニューですが、去年12月から提供を中止しています。
このほか、通常のラーメンに追加するトッピングのキャベツや、キャベツとチャーシューをあえたサイドメニューもあわせて中止しています。

このラーメン店でのキャベツの仕入れ価格は、通常6玉1500円程度のところ現在は3500円程度と2倍以上になっています。キャベツを含む食材の高騰が続く中、店では去年、ラーメンの価格を100円値上げしました。今回は去年より仕入れ値がさらに上がっていますが、これ以上ラーメンの値上げはできないと、キャベツを使ったメニューの提供自体を一時中止することに踏み切ったということです。

一方で看板メニューの「野菜盛りラーメン」を食べたいという客の要望も多く、比較的安く仕入れができたときに限って提供していることで、8日は、1玉分のみ出せたということです。

店主の木村龍二さんは「いつもだったら八百屋さんもいつ頃までには落ち着くと言ってくれるのですが、今回は見通しが立たないと言われました。野菜盛りラーメンしか頼まないお客さんもいて、販売中止は客足が遠のく原因にもなるので、できるだけ早く価格が安くなって欲しいです」と話していました。

東京・千代田区にあるお好み焼き店でも、材料として欠かせないキャベツの価格高騰で、一部の商品を値上げする対応を余儀なくされています。この店では愛知県産などのキャベツを1日に10玉以上使用しています。去年夏ごろには1玉あたりの仕入れ価格がおよそ250円でしたが、現在は800円あまりと3倍以上に高騰しているということです。

材料のもやしや小麦粉、それに食用油などの値上がりを受けて去年10月に1度、950円の商品を50円値上げしましたが、キャベツの価格高騰により、ことしに入ってさらに50円値上げしたということです。

店を訪れていた女性は「スーパーでキャベツを買おうと思ったら半玉でも高くて驚いた。飲食店の値上げもしかたないと思う」と話していました。

店長の小林健太郎さんは「これだけキャベツの値段が上がると、お好み焼きは値上げせざるをえないが、お客さんからは『しかたないよね』と理解してもらえるような反応です。いつ価格が落ち着くかはわからないのでいまは耐えつつ、変わらない味で頑張って提供していきたい」と話していました。

なぜ高値? 少雨でキャベツ生育に遅れ

なぜキャベツは高いのか?全国3位のキャベツの出荷量を誇る千葉県では、去年12月の雨不足の影響で生育に遅れが出ています。

千葉県内有数の産地である銚子市の農家、坂尾英彦さんは、およそ4ヘクタールの畑でキャベツを生産しています。

例年は12月中旬から収穫を始めますが、去年の夏の猛暑と先月の記録的な少雨の影響で生育が遅れたため、今シーズンは1月に入ってから本格的に収穫を始めました。坂尾さんは、1玉の重さが1.5キロほどに育った時点で収穫していますが、畑では8日の時点でも1キロに満たないとみられる小ぶりのキャベツが多くみられました。生育を待つ必要があるため、この冬の出荷量は例年の同じ時期の半分以下にとどまっているということです。

気象庁によりますと、銚子市の先月1か月の降水量はわずか3ミリにとどまり、統計を開始した1887年以降、12月として過去最少となりました。

坂尾さんは「雨不足への対応として畑に水をまいたが、20年ほど農業をやっていて12月に水をまいたのは初めてだ。異常気象の影響で露地栽培で安定して作るのがだんだん難しくなっていると感じている。出荷できず値段も高くなっていて、生産者も消費者も困っている状況だ」と話していました。

去年12月 太平洋側は記録的な少雨

千葉県など東日本や西日本の太平洋側の去年12月の1か月間の降水量は、冬型の気圧配置が続いた影響で平年の10%程度にとどまり、気象庁が統計を開始した1946年以降、12月として最も少なくなりました。

気象庁によりますと、先月は冬型の気圧配置が続いたため日本海側では雪が降った一方、太平洋側は低気圧の影響を受けにくく晴れる日が続き、記録的な少雨となりました。1か月間の降水量は、東日本の太平洋側では平年の7%にとどまり、1946年の統計開始以降、1973年に並んで12月として最も少なくなったほか、西日本の太平洋側でも平年の10%にとどまり、12月として最も少なくなりました。地域別でみますと、東海と近畿の太平洋側で平年の9%、関東甲信で7%、四国で5%となっています。また、東北から九州までのアメダスの観測点あわせて143地点で、1か月を通して雨が降らなかったということです。

気象庁異常気象情報センターは「今週土曜日にかけて冬型の気圧配置が続くが、日曜日には緩み、太平洋側で雨が降る可能性がある。今月1か月の東日本と西日本の太平洋側の降水量は、ほぼ平年並みになる見込みだ」としています。

今後の見通しは

気になるのが今後の価格の見通しですが、農林水産省によりますと、キャベツは愛知や千葉などの主な産地で去年夏の高温に加え、先月、気温が低く雨が少なかったことなどから、十分な大きさに育たないものが多かったということです。

このため価格は、今月も平年を上回って推移する見通しだとしています。